ドイツの製造業を中心にヨーロッパは景気が減速していましたが、最悪期を脱したかも知れません。
少なくとも、投資のプロたちは今後6ヶ月でドイツもヨーロッパも景気は上向くと考えているようです。
機関投資家や証券アナリストたちが感じているドイツとヨーロッパの景気は12月に大幅に改善しました。
この記事のポイント
- 機関投資家や証券会社のアナリストが考えているドイツとヨーロッパの今後6ヶ月の景気予報(ZEW景況指数)は、大幅改善。
- 4月以来8ヶ月ぶりにプラスに回復。輸出の回復期待で事前の予想を上回った。
ドイツ・ヨーロッパの影響を見る意味
「そもそもヨーロッパ株も保有していないのに、何でドイツやヨーロッパの景気を気にするの?」と思われるかも知れません。
理由は簡単で、世界の貿易の渦中にいるアメリカや中国よりも先に景気が悪化するだろうと思っているからです。世界経済のバロメーターとしてドイツとヨーロッパの景気を見ています。
2019年はアメリカや中国の景気減速が心配されましたが、世界No1, No2の経済大国は底力があるので簡単には崩れません。
むしろ、これらの国の経済に依存している国のほうが、ダメージを受けやすいと思っています。
例えば、ドイツはGDPの40%を貿易で稼いでいますが、最大の輸出相手国はアメリカ、最大の輸入相手国は中国です。輸出入をあわせた貿易相手国としても中国が1位で、両国の景気の影響をもろに受ける国です。
ドイツの貿易依存度が高いことはこちらの記事でもう少しだけ詳しく触れています。
>>2019年GDPマイナス成長に陥った国の共通点
ドイツの景気が悪化するとヨーロッパ全体に及ぶ可能性があります。すると、グローバル展開するアメリカ企業にも影響が出る恐れもあるため、主な経済指標だけでもヨーロッパの景気は毎月確認しています。
ZEW景況指数とは
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)は、機関投資家や証券会社のアナリストなど投資のプロを350人を対象に、今後6ヶ月の景気をアンケート調査してZEW景況感指数として発表しています。
ZEW景況感指数の数字の読み方ですが、ゼロを超えれば景気は上向き、ゼロを下回れば景気下向きを意味します。
投資のプロたちが感じているドイツとヨーロッパの今後の景気の善し悪しを見れるのが、ZEW景況指数です。
8ヶ月ぶりの景気上向き判断
2019年12月のZEW景況指数の結果ですが、予想をはるかに超える良い結果でした。
ドイツ
- 予想: +1.1
- 結果: +10.7 (前月の-2.1も大幅に上回る)
ヨーロッパ
- 予想: -17.7
- 結果: +11.2 (前月の-1.0も大幅に上回る)
グラフを見ると、2019年12月の大幅回復ぶりがハッキリ分かります。ZEW景況指数は4月以来8ヶ月ぶりのプラスになりました。
ドイツとヨーロッパの景気は最悪期を脱した可能性があります。
まだ実体経済の回復は弱い
投資のプロは今後6ヶ月でドイツもヨーロッパも景気は上向くと考えているようですが、欧州の製造業が感じている景気はまだそれほど強くはありません。
若干、回復の兆しが見えてきたかどうかというところです。
今後は、投資のプロたちが考えているように実体経済の景気も上向くかがポイントになりそうです。