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逆イールド現象に関するクリーブランド連銀のサイト

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今年はFRBのサイトを眺める機会がたくさんあったのですが、無料なのに優良な情報がたくさん掲載されていてとても驚きます。

最近はクリーブランド連銀のサイトで見ていて面白いなと思うページがあったので、それについて書いていきます。

今回取り上げるのは「Yield Curve and Predicted GDP Growth(イールドカーブとGDP成長率予想)」というページです。

今年に入って「逆イールド現象」という文字をたくさん目にした投資家も多いと思いますが、それがどんな意味をもつのかを視覚的に見せてくれています。

この記事のポイント

  • 逆イールドのデータから「景気後退の予兆」「1年内の景気後退確率」「1年後のGDP成長率」を大まかに調べることができる
  • クリーブランド連銀のサイトでは、それらのデータをグラフで可視化してくれている。

逆イールド現象とそれが意味するもの

長期国債と短期国債の利回りをくらべると、ふつうは長期国債のほうが大きいのですが、景気後退前にだけ短期国債のほうが大きくなる逆転現象が起こります。

これを逆イールド現象といいます。

そして、2022年はこの長短金利差の逆転現象の規模が数十年ぶりの大きさになっているので、ニュースなどでよく話題にのぼりました。

ただ、「逆イールドが〇〇年ぶりの規模になりました」と言われても、それが何を意味しているのかいまいち分からないという人もいると思います。

なので、それが意味するところを私の知っている範囲で書くと次の3点にまとめられます。

  • (1)逆イールド現象が発生したら、(いずれ)景気後退がやってくる。
  • (2)逆イールドの規模が大きくなるほど、1年以内の景気後退確率が上昇。
  • (3)逆イールドの動きよりも1年くらい遅れて、GDPも低下。

(1)については、有名なので知っている人も多いかも知れません。次のグラフでもわかるように、逆イールド現象が起こった後には景気後退が起こっています。

(2)や(3)については、冒頭で触れたクリーブランド連銀のページで詳しく解説しているので覗いてみたいと思います。

クリーブランド連銀のサイトから

クリーブランド連銀の「Yield Curve and Predicted GDP Growth(イールドカーブとGDP成長率予想)」というページを覗くと真っ先に、最近数ヶ月の「逆イールド現象」とそれを元にした「今後1年以内の景気後退入り確率」を見せてくれます。

ニューヨーク連銀も同じように逆イールドから1年以内の景気後退確率のデータを公開していますが、クリーブランド連銀のほうが更新が早いのは助かります。

また、今後の景気後退確率をグラフ化すると2023年に景気後退確率が急上昇しています。

特に、急上昇するのは2023年後半なので、クリーブランド連銀によると景気後退は2023年後半に訪れるとみているようです。

また、逆イールド現象の動きはおおよそ1年後のGDP成長率と似た動きになるとクリーブランド連銀はみています。

試しにGDP成長率のデータを1年ずらしたデータと、逆イールド現象のグラフは(おおまかに)動きが似ています。

この特徴を使って、今後1年先のアメリカのGDP成長率予想を公開しています。これによると2023年第2四半期までは好調で、第3四半期から景気が大きく減速するようです。

ただし、逆イールド現象を使って景気後退入りの時期を予想するのはかなり難しいことなので、プロが作った予想でも外れる可能性があることは投資をする上で十分意識しておく必要があると思います。

個人的にはクリーブランド連銀の予想よりも実際にはもう少しだけ早く景気後退が訪れるのではないかと思っています。


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