ウォルマートの5-7月期(21年度Q2)の決算は、収益も利益も事前のアナリスト予想超える内容でとっても良いものでした。
しかし業績が良かったにも関わらず、決算発表が進むにつれて株が下落しています。
この株の下落の原因を調べてみると、アメリカのウォルマートの売上成長は7月に入ってから鈍化したことがすぐに見つかります。この売上成長の鈍化は、アメリカ政府の景気刺激策の効果が薄れたためだとウォルマートは分析しているようです。
この記事のポイント
- 利益・収益ともにアナリスト予想を超える良い決算だったが、決算発表後に株は売られた。
- 株が下落した原因は、最近数ヶ月のウォルマートの成長を牽引していたアメリカで7月に売上成長が緩やかになったこと。
- 7月のアメリカでの成長鈍化の原因は、米政府の景気刺激策の効果が薄れたため、今も審議中の刺激策の動向を注視してみているとウォルマートCFOは発言している。
ウォルマートは4-6月まで新型コロナウイルスの恩恵を受けていた銘柄でしたが、風向きは少し変わりつつあるようです。
政府の景気刺激策はまだ審議中ながらも追加で発動される見通しですが、最近は新規感染者数も緩やかに減少しているのでウォルマートと少し距離をおく投資家が出てきても不思議ではなさそうです。
2020年5-7月期決算
利益・収益、それに主力事業のアメリカでのウォルマートの売上成長も全て、アナリスト予想を上回った良い決算でした。
- 一株利益:2.27ドルで、予想を0.99ドル上回る。
- 調整後一株利益:1.56ドルで、予想を0.31ドル上回る。
- 収益:$137.7Bで、予想を$3.93B上回る(前年比+5.6%)。
- 米国既存店売上成長率:+9.3%(予想は+5.4%)。
単位:10億ドル | 2Q21 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $137.7B | +6% |
営業利益 | $6.1B | +9% |
純利益 | $6.5B | +79% |
一株利益(EPS) | $2.27 | +80% |
前期(2-4月期)の決算でも好調でしたが、今期もウォルマートとしては引き続き高い売上成長率をキープできたようです。
特に、好調だったのはアメリカの既存店舗での売上成長率で、新型コロナウイルスが流行してから来客頻度は減りましたが、いっきにまとめ買いをするようになったため、大きく成長しています。
アメリカでのウォルマートのネット販売は、前期をさらに上回って成長が加速しています。
アメリカの景気刺激策の効果が切れつつある
しかし、ウォルマートの5-7月期の決算で見えてきたのは、好調な姿だけではありませんでした。
一番気になるのは、7月にアメリカの既存店売上成長率が鈍化したことです。これについてビックスCFOがコメントした内容を拾ってみました。
決算発表時のCFOのコメント
- アメリカ政府の景気刺激策は間違いなく第2四半期の消費者の行動に影響を与えていた。(…)しかし、その資金は四半期の終わりに徐々に減っていった。
- その影響で7月は通常レベルの既存店売上成長率に戻っていく動きがあったが、売上成長+4%は維持した。
- (新たな景気刺激策はまだワシントンの国会で審議中だが、)今後ワシントンでどのような協議がされるかを注意してみている。
そもそも2020年3月以降にアメリカでは歴史的な高水準の失業者がいます。
それでも4月からアメリカの景気が力強く回復してきた背景には、アメリカ政府の大規模な景気刺激策の効果が大きかったためです。
前回のウォルマートの決算でも、アメリカ国民に給付金が配られた4月の中旬以降に、ウォルマートでの消費が力強くなったとコメントしていました。
ウォルマート、好決算でも経営陣は慎重姿勢【20年2-4月期】
ウォルマートの2020年2-4月期の決算は良かったです。新型コロナウイルスの巣ごもり需要で、売上は急成長しています。また、ウイルス感染対策や従業員への給与や福利厚生改善のために営業利益は圧迫されましたが、それでも利益も成長を見せています。
さいごに
ウォルマートの5-7月期決算の結果はかなり良かったことで、決算発表直後は最大で約6%ほど株価は上がっていました。
しかし、7月に消費の力強さが失われる不安な影ものぞかせたことで、結局その日の取引はマイナス0.6%の下落で終えています。
同様に新型コロナと景気刺激策で恩恵を受けたホーム・デポも、同じ日に好決算を出しながら株価を下げています。
最近はアメリカでも新型コロナウイルスの新規感染者は緩やかに減少傾向にあるので、新型コロナウイルスの恩恵を受けてきたウォルマートも風向きがすこし変わってきたのかも知れません。