昨日の記事の中で、電気自動車関連の株が急激に上昇しているという話をしました。
多くの投資家が楽観的になっている今、悲観的になるべきか。
2020年11月時点で、米国株の投資家は楽観的になっているなと感じています。一部の銘柄はバブルのような値動きをしてるだけでなく、米国株全体でも割高なものが増えています。一般的には、まわりが楽観的になっている時期には、悲観的に投資したほうが良いと言われていますが、今は悲観的になるべきかを考えていきます。
テスラ(TSLA)、ワークホース・グループ(WKHS)、ブリング・チャージング(BLNK)などの株価を見ると、2020年に入ってからどれも7倍から15倍急騰して、バブルのような値動きになっています。
しかし、この3つの企業の中なら唯一、展開次第では割高どころか、割安にもなりうる大きな分岐点に立っている企業があります。
ワークホース・グループです。
アメリカの郵便局(略称:USPS)は今、配達用トラックに電気自動車を導入しようとしていて、複数社からの提案を選考しています。ワークホースはその最終選考の3社に残っていて、契約さえ取れれば売上・利益が跳ね上がることを予想されます。
この記事のポイント
- ワークホース・グループはトラック型の電気自動車を製造・販売している企業。
- 運送会社UPSと提携するなど有望な見込み客を抱えているが、2019年の売上はわずか40万ドル弱に規模にとどまるなど、利益どころかまだ売上すら十分に大きくなっていない。
- しかし、米国郵政公社(USPS)の大規模な電動トラック発注の最終選考に残っていて提案が採用されれば、60億ドルの契約が取れる可能性がある。
- 2020年のワークホースの株価は、この契約が取れることを見越して早くも上昇しているが、契約が取れた場合には現時点の株価は割高どころか、大幅に割安になる可能性がある。
USPSがどこと契約を結ぶかはまだ明らかになっていません。この段階でのワークホース・グループへの投資は、かなりギャンブル性が高いとは思います。
普通の投資家には全然おすすめする銘柄ではありませんが、スリルが好き人で余裕資金があり、その中で失っても良い金額程度で株を買う分には、面白いかも知れません。
ワークホース・グループとは
ワークホース・グループを電気自動車を製造して販売する会社です。主に宅配トラックを製造していて、荷物を運搬する宅配ドローンにも取り組んでいる企業です。
電気自動車なので環境に優しいだけでなく、最近の車だけあってリアルタイムでトラックの状況をモニタリングすることもできます。
購入価格こそはガソリン車よりも高くなりますが、ガソリンに比べて燃料コストを抑えることができるので、ワークホースによれば運送会社は3年で元が取れると言います。
ワークホースは有名な企業とも提携しているようです。
UPS、FedEx、DHLなどが顧客やパートナーに名を連ねています。運送会社のUPSとは2012年から提携していて、2019年末までに1300台を超えるトラックも提供しています。
ワークホースは有望な企業と提携こそしていますが、トラックをどんどん売っているという感じではなく、多くは実験的に導入してテストをしている段階だと思います。
ワークホースの売上はかなり小さく、2017-18年はそこそこの売上だったものの、2019年はたった38万ドル(約4,000万円)でした。「どこかの社長の一人分の年収ですか?」と疑いたくなる業績です。
この情報だけ判断すると、2020年に株価が8倍に上がって、時価総額が33億ドルになっているのはバブルに見えます。
USPSの大型契約の最終選考に残る
ただし、投資家がワークホースに魅力を感じているのは、ここからの話です。
ワークホースは今、アメリカの郵便局にあたるアメリカ合衆国郵便公社(USPS)から、宅配用の電動トラックの大型契約を勝ち取れるかも知れない大事な局面に来ています。
ワークホースはこの契約の最終選考に残っていて、残る3社のうちの最後1社に選ばれれば165,000台分の約63億ドルの契約を結ぶことができます。
2019年の売上が38万ドルだったことに比べると、目がくらむような規模の金額です。
右肩上がりなアナリスト予想
アナリスト達は、USPSの大型契約をある程度取れる可能性があると見ているようで、ワークホースの毎年の業績予想を確認すると大きく右肩上がりになっています。
アナリスト予想 | 売上 | 一株利益 |
---|---|---|
2020年 | $2.4M | -$2.04 |
2021年 | $146.1M | -$1.06 |
2022年 | $315.7M | $0.09 |
2023年 | $595.4M | $0.36 |
こうした予想が本当に現実のものになるなら、適正株価も今の株価の27ドルを大きく上回る可能性があります。
GuruFocusの適正株価を見てみると現時点ではたしかに割高ですが、(おそらくUSPSの契約が取れた場合には)今後4-5年の適正株価は今よりも一桁大きくなり、今の株価でも割安な状態になります。
さいごに
ここまで書くと、ワークホースがかなり有望な株に見えますが、かなりギャンブル性がある株だと認識しておいたほうが良いと思っています。
USPSの契約が取れたら株価は大きく上昇するはずですが、契約が取れなければ株価は大きく下落する恐れもあり、振れ幅がかなり大きいです。
今年も売上が小さいにも関わらず株価は8倍になっているので、契約が取れない場合には投資した金額はほとんど返って来ない可能性があることも覚悟して、投資したほうが良いかも知れません。
スリリングな投機が好きな人で、なおかつ十分な余裕資金がある人が、少額だけ株を買うなら良いと思います。または、リターンが小さくても良いからもう少し安全に投資したいという人は、契約が取れた後の株価上昇率が大きくなければ、買っても良いかも知れません。