「今回は違う」。好調なIT銘柄がバブルではないこれだけの理由。

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バフェットも動いた。さて、私達はどう動く?

2019年5月は、バフェット率いる投資会社バークシャー・ハサウェイがAmazon株を購入したことを発表し、大きく話題になりました。

かつてはIT銘柄は投資しないと思われていたバフェットですが、この2011年のIBMにはじまって、AppleにAmazonとIT銘柄に投資の幅を広げていることがわかります。

ちなみに、IT業界にいた人間からすると、企業選びのセンスが段々上がっているのも見ていて面白いですね。投資先がだんだんとテクノロジー的に「イケてる」企業へと移りつつあります。

(※IBMやアップルが投資対象として劣っていると言っているわけではありません。現に、記事を書いている時点で私も両社の株を保有しています。)

米国株に投資している人も、1990年代後半のインターネットバブル崩壊の教訓として「IT銘柄には投資をしない」と決めている人も多いかもしれませんが、あの時と今では状況が変わっていて、今一度投資対象としてIT企業を見直す良いタイミングではないかなと思っています。

ただし、かのバフェットも言うように自分が理解できない業界や会社に投資をしても、うまくいく望みは低いです。「バフェットが投資したから、投資する」のではなく、あのITバブルと何が今回は違うのか、私なりに考察したいと思います。

投資家の中では『今回は違う』という言葉は、バブルに気づかない人間がバブルの直前に言い放つ迷言として有名なパワーワードですが、私は大真面目に近年のインターネットサービスを展開している大手IT企業の株価上昇はバブルではないと思っています。

あ、いや。「今日は、ずいぶんと丁寧なフリですね」とか、そういうツッコミは大丈夫です…。これでAmazonもGoogleも実はバブルで今が最高値でした、という展開になってしまったら、今の私の資産的にも精神的にもかなりのダメージです。

それは、ほんとうに嫌です。。

IT企業がインターネットで儲かるようになった

さて気を取り直して、90年代ネットバブルの時期と2010年代でIT企業の何が違うでしょうか。

結論からいうと、「インターネットで儲かるようになった」という一言につきると思っています。

もう少しだけ分解すると、(1)インターネットを使ったビジネスの収益化ができたこと、(2)No.1だけが生き残る勝者総取り社会になった事、この2つの変化ができたことで、一部のIT企業にとって美味しいビジネス環境が生まれたと思っています。

ネットバブル期、インターネットで儲けた企業はいなかった

いきなり衝撃的な章タイトルなんですが、インターネット・バブルと言いながら、90年代後半のこの時代はインターネットで儲けた企業は皆無でした。

この時代は、上場した企業の社名にインターネットを表す”i”や”e”がついているだけで株価が上がったと逸話が残っているほど、企業の利益とは関係なしに期待先行で株価が上昇していたと言われています。

また、Windows95のMicrosoft、コンピュータの頭脳に当たるチップを開発するインテル、ネットワーク機器のシスコなど、この時期にまともな事業を展開する企業もいましたが、彼らはインターネット上でビジネスをしていたわけではなく、ネット環境を提供する側でした。

つまり、この90年代のネットバブル時代には、純粋にインターネット上でサービスを展開してビジネスで儲けを出す企業はまだ存在していませんでした。

ちなみに、インターネット上で完結するサービスを提供するビジネスと、そうでないビジネスには天と地ほどの差があります。動画配信サービスを提供するNetflixなどのようにネット上だけで儲けることが出来る企業は、一度サービスを作ってネット上にあげれば言語の壁こそあれ、世界中に一気に展開できます。つまり、リーチできる市場の大きさ、速さ、コストの面でインターネットビジネスは、既存ビジネスに対して有利な面を持っています。

インターネットビジネスの利点まとめ:

  • 市場の大きさ:世界中のユーザが対象で、膨大なユーザ数を獲得できる。
  • 市場展開の速さ:ネット上に一度サービス展開をすれば、瞬時に世界展開できる。
  • コスト:世界展開へのコストが極めて低い。結果、高い利益率を得やすい。

以降、「この3つの特徴を活かしてネット上でビジネスをする企業」と表現するのは面倒くさいので、簡単に「ネットネイティブな企業」と呼びます。

ただ、ネットネイティブなビジネスをしたいのはどの企業も望むところですが、90年代の一般ユーザにとってネットは無料で情報を手に入れる場所であり、どんなビジネスをすれば、そんな人々がネットサービスにお金を払ってくれるのか企業側がわかっていませんでした。

一部ではAmazonのようなネットショップのような成功例もありますが、物流をセットにして提供する必要があり、瞬時に世界にサービスが展開できるネットネイティブなビジネスとは程遠いのが現実でした。

そんなわけで、90年代のネットバブルはネットネイティブな企業がゼロでしたが、バブル崩壊後に徐々に状況が変化します。

2000年代、広告モデルでネットネイティブなビジネスが開花

私の認識では、ネットネイティブと言える最初の企業はGoogleだと思っています。ご存知の通り、Googleはインタネットの検索結果と一緒に広告を表示することで儲けている広告ビジネスの企業です。

Googleは創業こそ98年でインターネット・バブルの真っ只中ですが、世界中のユーザがGoogle検索を使いだして広告ビジネスが軌道に乗ったのは、ネットバブル崩壊後の2000年代です。

そしてGoogleの突破口を機に、この20年間、世界中のビジネスとITの天才たちが知恵絞って挑戦を繰り返した結果、今では次々にネットネイティブなビジネスが生まれつつあります。

インターネットビジネスの成功モデル:

  • 広告ビジネス:Google、Facebook(2000年代〜)
  • アプリ・ストアなどのプラットフォーム:Apple、Google(2000年代〜)
  • クラウドサービス:Amazon、Microsoft(2010年代前半〜)
  • サブスクリプション:Netflix、Adobe、Microsoft(2010年後半〜)

そして、これらのネットネイティブな企業の株価を調べてみると、面白いように右肩上がりになっているのがわかります。

顕著なのは、2010年にクラウドサービスを正式展開してネットビジネスに舵を切ったMicrosoftですが、2010年以降はリーマンショック後の回復期とも相まって快進撃を続けています。

また、デザイナ向けのソフトで圧倒的なシェアを誇るアドビは、同ソフトをネット経由で提供するサブスクリプション(定額制サービス)を導入した2013年から、破竹の勢いで株価を伸ばしています。

ビジネス界のルールを変えたインターネット

よくインターネットは世界を変えた発明だと言われることがありますが、ビジネス目線にたってみると、インターネットはビジネス界の成功のルールも変えたんじゃないかなと思っています。

ネットネイティブなビジネスが流行る遥か前。企業の必勝法は自社の製品を海外に持っていって、市場を拡大することでした。このようにしてコカ・コーラやP&Gの製品は世界中で使われことになりましたし、MicrosoftもWindows95を米国外に大量に売り出して成功しました。

そして2000年代に入って、いよいよネットネイティブなサービスが出始めると、一部の先進的な企業はインターネット上を使って世界を支配し始めます。ネットの中では、地理的な距離の隔たりは関係なく、圧倒的な低コストで瞬時に世界展開ができるため、ネット上の未開の地を巡って激しいユーザ獲得競争が行われます。

それがかつてのGoogle検索などの検索エンジン開発競争であり、クラウドコンピュータ開発競争であり、今日の動画配信サービス開発競争にまでつながっています。そしてその競争に勝った企業が、次々と覇権をとっているのです。

脱線ついでに、近年の日本について触れると、ネットネイティブなこれらのサービス競争に加わっている日本企業は皆無です。世界のルールが変わったことに各社が気づいているのかいないのか、私にはわかりませんが、まともに勝負できているのは、米国・中国の一部の企業くらいです。

ルールが変わったことに気づいていないなら、どんな勝負に挑んでも勝つことはできないです。

これは日本企業に投資しない理由の一つでもあります。

No.1だけが生き残る、勝者総取りの社会

さて、そろそろ疲れてきたので、最後にインターネット・バブル期と今のIT企業の何が違うのかの、2つ目の議論を簡潔に説明して、終わりにしたいと思います。

ネットネイティブな企業によるユーザ獲得競争も落ちついた後の市場を見ると、ある共通点が浮かび上がってくるのです。

ネット広告ならGoogleとFacebook、クラウドならAmazonとMicrosoftなど、市場シェア上位の少数企業が市場の大半を占めていることがわかります。この現象をWinner-takes-all(勝者総取り)と言います。

この現象が起こる理由はとてもシンプルで、インターネットで繋がれた世界ではあまりに多くの情報にあふれ過ぎていてユーザ自身が選びきれないので、その分野の1位か2位を選択するということが起こるためです。これはグーグル検索でwebサイトを調べる時に、大体の人が1番上か2番目に掲載されるサイトを見るのと同じで、高度に情報化した社会で起きる現象です。

このWinner-Takes-All状態は、株主にとって大変嬉しい状態です。Winner以外の企業はこの環境で淘汰されやすく、一度市場で上位についた企業に投資すれば、そうそう下剋上が起こらず安定的な収益を生み出してくれるからです。(株に詳しいに人には、「経済的な濠」が発生していると言ったほうがわかりやすいかもしれません)

2019年現在では、ネット広告とクラウドがまさにこの状態にあります。

このWinner-Takes-Allは高度に情報化した社会で起こる現象で、90年代のインターネットバブル期では今ほどはっきりと見られなかった現象です。こういった市場環境があるため、FANGと呼ばれるFacebook、Amazon、Netflix、Googleのような市場を独占した企業が安定的に株価伸ばしています。

まとめ

さて、以上長々と説明してきましたが、最後にこの記事のまとめをして、文章を締めたいと思います。

2019年現在、市場を独占したネットネイティブな企業の株価は好調な市場が環境が続いていますが、これは90年代のようなインターネット・バブルではなく今後も続く展開だと私は思っています。

当時との違いは、20年以上の年月をかけてようやく企業はインターネット上で効率的に儲けるビジネスを確立できたこと、さらに一度確立したもう勝つビジネスは他の企業によって脅かされにくい市場環境があることです。

2019年現在、IT企業は市場の成熟化とともに売上成長率が鈍化するリスクと、米中の貿易競争などで世界経済減速のリスクがあるものの、ネットネイティブな銘柄だけが単独で値崩れするバブルの状況は起こりにくいと思っています。