なぜ、Googleは収益性の低いハードウェアビジネスに乗り出すのか。

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Googleは10月15日にハードウェアの新製品を発表するMade by Google 2019を開催するようです。

今年はGoogleが提供するハイエンドスマートフォンのPixel4などが発表されると見られています。

Pixel4は、iPhoneのように顔認証でロックを解除できる機能に加えて、モーションジェスチャーを認識できる機能備えてて、例えば次の曲を書けたいときには、画面に触れずに手を横にスライドさせるだけで、曲変更ができます。

以下の動画でその様子が見れます。

とても、かっこいいですね。

また、最近のGoogleのイベントはYoutubeでの配信も行っていますが、当日は以下の動画から配信が行われる予定のようです。

Made by Google 2019

Googleはなぜハードウェアを売ろうとするのか

さて、ここからが本題なのですが、Googleはなぜスマホというハードウェア(機器)を売ろうとしているのでしょうか。

一般的にハードウェアは、ソフトウェアに比べると収益性が低いです。つまり、頑張った割に効率が悪い商売だと言われています。

すごい古い話で恐縮ですが、IBMは1990年代に赤字に転落して経営の危機に陥ったときに、今まで売ってきたハードウェア製品の大部分を売却して、これからは「高収益なソフトウェアとサービスの時代だ!」と転換を図ったことから黒字化に復帰しました。

また、2019年ではアップルがハードウェアのビジネスのiPhoneの売上減少が顕著になり、かつてのIBMのように「これからのアップルはサービスの会社になる!」とティム・クックCEOが宣言しています。

時代遅れとも見えそうな、ハードウェアを作るGoogleの狙いはどこにあるでしょうか。

Googleが欲しいのはハードウェアではなく、Googleの検索をずっと利用してもらえる環境

数年ほどまでに一般的によく言われていたのは、アップルがiPhoneなどのハイエンドスマホで儲かったので、Googleもそれに続きたいがためにハードウェアを売るという動機です。

それも一理あるのかも知れませんが、もう少し別の動機もある気がしています。

Googleの発展の歴史を紐解くと、結局のところGoogleの発展の歴史は「Google検索を利用してもらうため」というのが、主目的だと思っています。

  • Googleの黎明期は、Google検索結果に公告を表示するビジネスで稼いで頭角を現した。
  • 2008年、Chromeというブラウザをリリース。デフォルト検索エンジンをGoogle検索にして、Google検索の利用機会を増やした。
  • スマホが流行った2008年に、Android OSも開発。既定のブラウザをChromeにし、自然とGoogle検索が使われる状況を作り出した。
  • 小型PCが流行った2011年に、Chromeブラウザだけが動くChromebookをリリース。もちろん、既定の検索エンジンはGoogle。

このように、Googleは一貫してGoogle検索が安定して利用させる環境(経済的な濠)を作るために、新製品を開発してきました。なので、GoogleがスマホのPixelを販売するのも、自然の発想としてGoogle検索を使ってもらうためだとも言えます。

今までAndroidはスマホのOSとして支配的な地位を気づいてきましたが、それでもGoogleはAndroid OSを使ってもらえないAppleには、iPhoneでもGoogle検索を既定のブラウザにするために年間1兆円を支払っています。また、ファーウェイが独自OSを開発してきたりとAndroidも万全ではありません。

Googleはアップルに年間1兆円の「デフォルト検索エンジン代金」を支払ってる?アナリスト分析が発表(engadget)

こうしたAppleやファーウェイなど、Androidを使ってもらえない相手がいる以上、Google検索の利用率を下げないためにスマホを作るのはある意味必然とも言えます。

アマゾンもアップルもGoogleと同じ戦略

ちなみにスマートスピーカーを発売するアマゾンも、自社サービスを使ってもらうためのハードウェアを販売するというGoogleと同じ戦略で動いています。

Echoの既定の音楽プレイヤーに設定されている音楽配信amazon musicの有料プランに契約してもらったり、将来的に人々がスマートスピーカーで買い物をするようになる未来が来たときに、ショッピングサイトがアマゾンに設定されているエコーが世の中で広まっている必要があるため、スマートスピーカーというハードウェアを販売しています。

また、最近サービスの企業になると宣言しているアップルも同じ戦略をとっているように見ます。

アップルの音楽配信サービスApple Music、決済サービスApple Pay、雑誌購読サービスApple News+、オリジナル動画サービスApple TV+をたくさんの人に見てもらうためには、iPhoneユーザを拡大させる必要があり、19年発表されたiPhone11を低価格に押さえてきたのもiPhoneユーザを拡大させるために見えます。

もう少しだけ補足

ちなみに、「アマゾンがスマートスピーカーのAmazon Echoを発売するのは分かった。でも、GoogleはなぜスマートスピーカーのGoogle Homeを発売するんだ。」という声があるかもしれません。

Googleスピーカーを使っても、Google検索やその結果画面の公告は出てこないので、この指摘はごもっともです。

Google Homeの場合は、Google検索ではなくGoogleの音楽配信サービスPlay MusicやYoutube Premiumなどの有料サービスを利用してもらうためにハードウェアを販売しています。

つまり、GoogleはかつてはGoogle検索を利用してもらうために、新製品を発表していましたが、Google検索だけにとどまらず、自社サービスを利用してもらうためにハードウェアに力を入れるようになっていることがわかります。

もう少しだけ、抽象的に理解をするなら「自社サービスを使ってもらうためのユーザとの接点を獲得しようとしている」といえます。

Facebookも自社サービスの接点拡大を狙う

ここまでの話でIT企業が低収益のハードウェアに手を出すメリットとして、「ユーザとの接点を獲得して自社サービスを利用してもらえる」点があるという話をしてきました。

最後に、実は「ユーザとの接点を獲得するには何もハードウェアでなくてもいい」という例をあげたいと思います。

最近、Instagramがアプリ内で公告の商品を買い物できる機能(チャックアウト機能)を追加しましたが、それも「ユーザとの接点の獲得」のための工夫です。

今までは、Instagramで「いいな」と思った商品はURLをクリックして、ブラウザ先のサイトに飛んだり、アマゾンのサイトに飛んだりして、Instagramからユーザが離れてしまうスキがありました。

しかし、インスタグラムの中で「いいな」と思ったものを購入できれば、インスタグラムは情報の収集だけでなく、購入のプラットフォームとしてユーザとの新たな接点を獲得でき、アプリ内の滞在時間を長くすることが出来ます。これは広告ビジネスを手掛けるインスタグラムにとって大きな価値になります。

以上、長くなりましたがまとめると、収益性が低いにも関わらずIT企業がハードウェアビジネスに乗り出すのは、「ユーザとの接点を獲得して自社サービスを利用してもらうため」だと言えます。また、ユーザ接点を抑えるにはハードウェアがメインになりやすいですが、facebookの例を見ても判るように、ソフトウェアでも新たな接点を模索することもできます。


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