なぜ景気後退の1年前から株を売却するのか
自分のブログを読み返していて、確実に多くの人が疑問に思うはずなのに、ちゃんと説明できていない疑問点があることに気づきました。
景気後退入りすると予想されている時期の1年以上前から、なぜ私は既に株を売っているかという疑問です。
例えばこの記事を書いている2019年9月の時点は、多くのエコノミストや投資家は2020年後半から2021年にかけてアメリカの景気後退があるのではないかと予想をしているなか、私が大きく株を売ったのは2019年8月でした。
景気後退予想の記事:著名投資家のアメリカ景気後退予想まとめ
株の大幅売却の記事:【保有銘柄】米国株の売却と米国債の購入を開始しました。
いや、正直言うと自分でも若干早かったかなと反省はしています。
それでも”若干、早かっただけ”で、理想的には景気後退の1年前から株を保有率を減少させていくのが理想的だと考えています。過去のデータを振り返ると、景気後退前の1年前を切った段階で、株のリターンが悪化する傾向があるからです。
景気後退12ヶ月前から悪化する株リターン
1936年から2018年で発生した景気後退の前の米国株(S&P500)のリターンの示したのが次の表です。だいたい12ヶ月前から株がほとんどリターンをうまなくなっているのがわかります。
景気後退前の年率リターン | 平均 | 中央値 |
---|---|---|
24ヶ月前 | 9.10% | 10.60% |
18ヶ月前 | 5.50% | 3.90% |
12ヶ月前 | 0.60% | -1.50% |
6ヶ月前 | -2.80% | -10.70% |
また、直近12ヶ月間の株価のリターンを見てみると、全体的に株のリターンが徐々に低下しているのが解ります。
※例えば、以下のグラフで2018年1月の直近12ヶ月間のリターンが26%とは、2017年1月末から2018年1月末までのリターンが26%だったことを意味します。
株のリターン低下とともに起こるのは国債のリターン上昇
株のリターンが減少していくのは、景気拡大局面の後半から景気後退局面に移っていく時の動きです。株のリターンが減少していくならば、変わって保有すべきは、景気後退時にかけてリターンが増える米国債になります。
こうしたこともあって、私が2019年8月に株を売って、国債を大きく買う動きに出ています。
攻める投資家への追加情報:景気後退前半年前に株価のピークが訪れる
今までの話は、資産を守りたいと考えるディフェンス重視の投資をする人動きです。
さて、そうではなく、もっとギリギリまで株で攻めたいと考える人は、景気後退の予測時期の1年前に株を売ってしまうと大きく機会損失をする恐れがあることも知っておく必要があります。
なぜならば過去の景気後退入りのでは、直前の半年から数ヶ月前まで株価が上がる減少が発生していたからです。
景気後退時期 | 株価のピーク | 差 |
---|---|---|
1990年7月 | 1990年6月 | 1ヶ月前 |
2001年3月 | 2000年8月 | 5ヶ月前 |
2007年12月 | 2007年10月 | 2ヶ月前 |
ただし、景気後退直前の株価上昇を狙いに行く投資は、かなりレベルが高いです。例えば1990年6月に株価のピークをつけた後、1ヶ月後に景気後退が始まっています。この1ヶ月で大胆に株から資金を引き上げることができるかという点が、プロでも難しい気がしています。
もしも景気後退しない場合
ちなみに、ここまで議論してきたのはあくまで「景気後退すると考えている場合」の投資の話です。もしも、景気後退するリスクが低くなったのなら、警戒モードを解除して国債などに振り分けていた資金を再度株に振り分けるのもありだと思います。
景気後退するリスクが低くなったかどうかの判断が難しいところですが、個人的には2019-2020年の局面では以下の3つは重要な気がします。
- 米中の貿易戦争で発動した関税が撤廃されること(景気見通しの悪化要因がなくなること)
- アメリカのGDP成長率が拡大したまま維持していること(2%以上で維持が望ましい)
- ヨーロッパ・日本・中国も景気が悪化がしない状態が安定すること(世界経済の悪化から、米のグローバル企業の収益が悪化するストーリーが消えること)
こうした条件が揃えば、S&P500の年率リターンも一桁後半から二桁に引き上がるはずです。そうなれば、国債に振り向けた投資も、再度株に振り向けても良い気がしています。