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歴史が繰り返されるなら、新型コロナウイルスの第2波が来る。

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米国株の研究で有名なジェレミー・シーゲル教授は、新型コロナウイルスの感染拡大の第2波がなければ2020年内に米国株は最高値を更新する可能性もあると言います。

しかし、CNBCによると著名なエコノミストの80%が米国に感染拡大の第2波が来ると予想しているようです。

この記事では、過去に世界的に流行したパンデミックを振り返り、歴史が繰り返すなら高い確率で米国に第2波が来ること、また米国の景気回復には時間がかかると予想されるというお話をします。

この記事のポイント

  • 過去約100年の間に起こった5回の世界的なパンデミックを振り返ると、4回は感染拡大の第2波がきている。
  • スペインかぜは1918年から世界的に流行したインフルエンザで、世界の人口の3分の1が感染した。スペインかぜも流行は第3波まであった。
  • スペインかぜの対策として、現代と同じようにソーシャルディスタンス(社会的距離)などの規制が採用された。これらの規制を厳しくかけるほど、パンデミック収束後の経済回復が早かったという当時のデータがある。
  • 現時点の米国は、毎日2万人以上の感染者数を出しながらも経済活動を段階的に再開させている。スペインかぜのデータによれば、このようなゆるい規制では、新型コロナウイルス収束後も景気回復が鈍い恐れがある。

過去100年のパンデミックでは5回中4回で第2波が到来


過去100年を遡ると5つのパンデミックがありましたが、その4つは感染が収まった後に複数回の再流行を経験しています。今回の新型コロナウイルスも過去の歴史が繰り返すなら、第2波や第3波がやってくると考えるのは自然と言えそうです。

過去100年のパンデミック 名称 再流行
1918-20年 スペインかぜ あり
1957-58年 アジアかぜ あり
1961年 コレラ あり
1968-69年 香港かぜ あり
2009-10年 豚由来の新型インフルエンザ なし

上記のパンデミック以外にも、新型コロナウイルスに比較的近いと言われているSARS(読み方:サーズ。病原体はコロナウイルス)の場合でも、感染拡大は一度収まった後に、第2波がきています。

SARSの新規感染者数(灰色)にも第2波があり、香港株(青線)は第2波のピークで底値をつけた。

投資家として、上記のSARSの新規感染者数と香港株のグラフで気になるのは、感染の第1波よりも第2波のときのほうが、株価が下がっていることでしょう。

2020年の米国株も3月23日に底値をつけましたが、第2波がくれば3月の底値も下回る可能性もあることは、頭の片隅に入れておいたほうが良さそうです。

感染防止対策の規制が厳しいほど、景気回復が速い


過去のパンデミックの例を見ていて面白いのは、ソーシャルディスタンス(社会的距離)などの規制をいち早く導入し、少しでも長く継続させた都市ほど、パンデミック収束後の景気回復が早いというデータが残っていることです。

具体例として、1918年以降、3回の流行の流行期が見られたスペインかぜを見てみましょう。

スペインかぜの死者数のグラフ

米国でのスペインかぜについて

  • 1918年から世界的に流行したインフルエンザ。世界の人口の3分の1が感染したと推計する専門家もいる20世紀最大のパンデミック。
  • 米国では1918年から1919年にかけて3回のスペインかぜの流行のピークがあった。最も深刻だったのは2回目のピークだった。
  • 当時の米国でも学校休校や大勢が集まるイベントの中止などの規制がかかったが、規制は国単位の一律ではなく、都市によって異なった。

上記の中で、重要なのは都市によって規制が異なった点です。

すると当然、規制がゆるい都市と厳しい都市が出てくるのですが、スペインかぜのときの各都市のデータをみてみると、規制を厳しくかけた都市ほど死亡率が低下しているだけでなく、ウイルス収束後の景気回復も勢いが良いことがわかっています。

厳しい規制をかけた都市(黄色)は死亡率が低く、景気回復が早かった

出典:CNBC

上のグラフは横軸が死亡者数、縦軸が1919年の製造業の雇用の伸び(1914年比)を現しています。

規制を厳しくかけた都市は黄色の点、規制が緩かった都市は赤の点でグラフにプロットされていますが、規制を厳しくかけた黄色い点が、左上に集中していることがわかります。

つまり、感染防止のための規制を厳しく長くかけた都市ほど、収束後の経済成長が早かったことがわかります。

まとめ


2020年5月に米国は新型コロナウイルスの感染拡大のための規制を一部緩和し、少しずつ経済活動を再開し始めています。

しかし、過去のパンデミックやSARSなどの類似した感染症の拡大をパターンを見る限り、かなりの高い確率で今後米国に感染拡大の第2波が来ることは、覚悟しておいたほうが良さそうです。

また米国では毎日2万人の新規感染者数を出しながら、経済活動の再開を始めていることから、感染拡大防止のための規制は緩いと思われます。スペインかぜ時のデータによれば、規制がゆるい場合にはウイルス収束後の景気回復が弱くなる傾向がある点には注意です。

今後の米国について

  • 新型コロナウイルスの第2波がなければ、米国株は年内に高値を更新する可能性もある(シーゲル教授)
  • しかし、過去の感染症の拡大パターンによれば、高い確率で第2波は来る。SARSのときには第2波で株価は底値になったので、2020年の米国株も第1波よりも第2波のほうが株価を下げる可能性もある。
  • 米国は規制を緩めるのが早かったため、ウイルス収束後の景気回復も弱くなる恐れがある。

こうした環境でどう投資するかですが、無難なやり方としては一部の資金は米国株に投資して第2波が来ない場合の株価上昇の恩恵を受けつつ、一部の資金は第2波が起こって株価下がった場合に備えるやり方があります。

この注意点は第2波がきて株価が下がった場合、米政府やFRBがおそらく迅速に景気対策を打ち出して市場を支えるので、株が安値で買える時期がかなり短いかも知れないということです。

下落してもFRBや米政府が支えてくれると信頼を寄せるなら、今の時点で米国株のやや比率は高めにしても良いかも知れません。


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