昨日の記事では米国株はまだ伸びる余地はあるものの、今はそれほど魅力的ではないという話をしました。
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2022年のS&P500は上昇しても10%弱で、2021年のような大きな上昇はあまり起こらないだろうと思っているのですが、そのように考える理由を書いていきます。
この記事のポイント
- 2021年にS&P500が上昇した背景には+46%の一株利益成長があったが、2022年は同9%に留まる。
- また2022年は利上げも予定されているのでPERも上がりにくく、下がることもありえる。
- 企業利益もPERも大きな上昇が見込めないので、S&P500は2021年ほど伸びないと考える。
企業の利益が大きく伸びた2021年
2021年の米国株S&P500のリターンは28.7%で、わずか1年で約30%近くも上昇しました。
なぜ、このような大きな株価上昇が起こったのでしょうか。
その原因を少し探ってみると、2021年のアメリカ企業は絶好調で企業の利益が大きく伸びていたことがすぐにわかります。
S&P500の一株あたりの利益が46%も伸びているなら、株価が30%近く伸びても不思議ではありません。
この企業の伸びが2021年の米国株の好調の要因だったのだろうと思います。
2022年に鈍化するアメリカ企業の利益成長
そして、2022年のS&P500の一株利益の成長率予想を見てみると、2021年と比べるとかなり鈍化していることがわかります。
2021年は+46%で伸びていた一方で、2022年は約9%にとどまります。
なので、恐らく2022年のS&P500は2021年のような大きな株価の上昇は見込めないのではないかと思っています。
株価の上昇要因について
もちろん、株価上昇のエンジンは企業の利益だけではありません。
なので、企業の利益が伸びがゆっくりになるからと言ってすぐに2022年の株価上昇は緩やかだというのは、結論を急ぎすぎています。
株価をすごくざっくりと分解すると、【株価】 = 【一株利益】 × 【PER(人気度・割高度)】 に分解できるので、PERが上昇すれば2022年に米国株指数のS&P500が大きく上昇する可能性は十分あります。
しかし、一般的にはPERは政策金利が引き上げられるような年にドンドン上がっていくようなものではありません。
投資家の予想では2022年は3月から政策金利が引き上げられると言われているので、2022年にPERは下がっていく傾向があるのではないかと思っています。
まとめると、株価上昇要因のうち(1)一株利益は最大で10%程度、(2)PERは上昇しにくく下がることもあり得ると考えると、良くても2022年のS&P500の上昇は10%程度になるのではないかと思っています。
- 一株利益:2021年は約10%弱上昇。
- PER:政策金利の引き上げの影響を受ければ低下する恐れあり。
さいごに
この記事では、今年は去年ほどS&P500が上昇しないと考える理由を「一株利益」と「PER」にわけて考えていきました。
一株利益は10%弱の上昇、PERは政策金利の引き上げが進むと上昇ではなくむしろ低下しやすいことを考えると、2022年のS&P500は上昇しても10%程度なのかなと思っています。
政策金利の引き上げは影響がでるまでに時間がかかることもあるので、2022年前半は株価はそこそこ良く、年後半は月日が進むにつれて株価も上昇しにくくなる気がしています。
2022年中の株価の大きな下落はまだそこまで差し迫ってはいないと思いますが、中央銀行FRBの動きやアメリカの景気を見つつ警戒して投資を続けたいと思います。