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新型コロナウイルスの流行時でも下落しにくかった銘柄

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だいぶ旬を逃してしまったような話題になりますが、2020年の新型コロナウイルス流行時の株価下落について書こうと思います。

もう少し具体的に言うと、この記事では、新型コロナウイルスが流行して米国株が大幅下落した時期(2020年2月から3月)に、最大で何%下落したのかを約500社で調べました。

正直なところ、新型コロナウイルスの流行時の株価下落の傾向は今までの景気後退期に見られたものとかなり違うので、500社分の下落率のデータから今後の投資に活かせるような学びはそれほど得られないのですが、せっかく調べたので公開をしたいと思います。

この記事のポイント

  • 新型コロナウイルス流行時に見られた米国株の大幅下落は2020年2月19日から3月23日まで続いたが、同期間でS&P500の各社が何%下落したかを調べた。
  • 下落率が小さい銘柄は、新型コロナウイルスの治療薬を開発する製薬会社だった。また、在宅需要の高まりの恩恵を受けた銘柄も下落率が低かった。
  • 下落率が小さい企業の傾向は、リーマンショック時の傾向とはかなり異なる。
  • コロナの下落の初期に下落率の小さい銘柄を調べて素早く乗り換えていれば、大きな資産の減少は防げた可能性はある。

新型コロナウイルスの流行時でも下落したなかった銘柄


新型コロナウイルスが世界で最初に流行し始めた2020年2月、米国株は毎日のように大きな下落を経験しました。

当時の株価を振り返るとわかるのですが、S&P500はたった1ヶ月間で約35%ほど下落しています。

しかし、米国株だけでなく世界中の株価が大幅に下落していた時でも、ごく一部の銘柄はたいした下落を受けることなく、この多難な時期を乗り越えているものがあります。

そこで、どの企業はコロナの下落に強かったのを調べるために、S&P500が下落を始めた2020年2月19日からS&P500の下落が底をついた3月23日までに、個別企業の株は何%下落したのかを調べてみました。

この期間での下落率が低い企業から順に並べましたが、上位企業は驚きの下落率の低さになっていました。

# シンボル 名前 下落率
1 REGN Regeneron Pharmaceuticals -0.4%
2 GILD Gilead Sciences -0.5%
3 DPZ Domino's Pizza -3.6%
4 MRNA Moderna -3.6%
5 CLX Clorox -3.7%
6 KR Kroger -4.8%
7 CPB Campbell Soup -5.6%
8 GIS General Mills -8.0%
9 DLR Digital Realty Trust -9.3%
10 SJM JM Smucker -10.3%
11 MKTX MarketAxess -10.6%
12 WMT Walmart -11.6%
13 TTWO Take-Two Interactive -11.8%
14 VZ Verizon Communications -12.4%
15 LLY Eli Lilly & Co -13.1%
16 COST Costco -13.4%
17 COG Cabot Oil & Gas -13.4%
18 ROL Rollins -13.5%
19 BDX Becton Dickinson -14.0%
20 NEM Newmont -14.4%

※500社全部の下落率はこちらのグーグルスプレッドシートにまとめましたので、興味ある方はご覧ください。

下落率が低かった企業の傾向

上記の表を見てみると、下落率が小さいことも納得するような企業名が上位に並んでいます。

まず、新型コロナウイルスの治療薬としていち早く注目を集めた「レムデシビル」を有するギリアド・サイエンシズ(GILD)、抗体カクテル療法と呼ばれる治療法で注目を集めるリジェネロン(REGN)、ワクチン開発で名が知れ渡ったモデルナ(MRNA)が相次いで、低い下落率になっています。

コロナで在宅時間が伸びたことで需要が急増したドミノ・ピザや、家で食事する機会が増えたことで手軽に食事ができる商品を提供するキャンベルスープやジェネラルミルズも下落に強かったようです。

また、多くの店舗が閉店に追い込まれるなか、開店を許可され続けた業種のスーパーマーケットは株価下落が小さかったようです。

  • 新型コロナウイルスの治療薬を開発する製薬会社:ギリアド、リジェネロン、モデルナ
  • 在宅需要を取り込んだ企業:ドミノ・ピザ、キャンベルスープ、ジェネラルミルズなど
  • 閉店に追い込まれなかったスーパー:クローガー、コストコ、ウォルマートなどのスーパー

コロナショックに強かった銘柄から得られる学び

2020年のパンデミックの下落に強かった銘柄を見てきましたが、「それで、この一覧を見て、今後の投資にどのように活かしたら良いの?」と聞かれると、私も少し回答に困ります。

というのも、今回の調査で分かった株の下落に強かった銘柄は、前回のリーマンショック時の株価下落とは傾向がだいぶ違うからです。

リーマンショックでは、マクドナルドや洗剤のチャーチ・アンド・ドワイトなどの生活に密着した企業の株価下落が小さい傾向がありました。

しかし、リーマンショックもコロナショックもともにごく一部の銘柄は、S&P500に比べて極めて小さいダメージで済んでいることは共通しています。

もしも、大きな米国株全体で大きく下落しているような場面に出くわしたとき、「極めて小さい下落で済んでいる企業に早めに乗り換えることができれば、その後の資産の減少を上手く抑えることができるのでは?」という考えも浮かんできます。(言うは易し、行うは難しですが。)

私の場合は、2020年2-3月のコロナショックの前から米国株への投資を抑えて、国債に大きく投資をしていたので、株の下落のダメージをほとんど受けずにすみました。

しかし、2021年の現時点では史上最高に米国債は買われすぎと言われているので、次の景気後退でも国債で株の下落を防ぐ方法が使えるかどうかわかりません。

そういう場合には、株を売って現金化するのが株価下落を防ぐことになると思いますが、もしも悪いインフレも心配されるような経済だとしたら、現金化して自分の資産の下落を防ぐのではなく、下落しにくい株にスイッチするという発想も必要なのかも知れません。


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