前日の記事で「金融緩和はしばらく続くのでしばらくは業績回復とインフレ率上昇を見越した投資ができるはず」と書いた直後に、米国株が勢いよく下げました。
何ともタイミングが悪い時に、記事を書いてしまったものです。
この株価の急落は実質金利(実質10年債利回り)が急上昇したために、売られたと言われています。(※一般的には実質金利が上昇すると、株価は下落しやすくなります)
ただし、上のグラフを見ると分かるように、急上昇したと言ってもまだコロナ前よりも遥かに低い水準にあるので、まだこれからも金利が上昇する恐れはあります。
今後も実質金利が上昇する余地があるなら、どんな銘柄ならその影響を受けにくいのか把握する必要があります。
この記事では、2月25日の市場でどんな銘柄が金利上昇の悪影響を受けにくかったのかを調べて、今後の金利上昇にどのように備えるかを考えていきます。
この記事のポイント
- 金利が上昇すると、ハイテク企業が多いナスダック総合指数は大きく売られ、昔ながらの大手企業が多いダウ平均はナスダックほど下げなかった。
- 医薬品・一般消費財・公共インフラ業界の株は金利が急上昇しても下落は大きくなかった。
- 金融・エネルギー・工業株は、金利上昇が緩やかな間は業績回復期待から株価が買われたが、金利が急上昇した日には売られた。
金利上昇時の株価変動を観察する
一般的に、金利が上昇して株価が下がる場合には、割高な株ほどが大きく下げることが知られていますが、2月25日の株価下落でもその通りの傾向が見られました。
PREが高いナスダックは大きく売られ、ダウはそれほど売られなかった
米国株の主な株価指数を4つほど並べて、1日の株価の下落率と割高度(予想PER)をあわせてみてみると、予想PERが大きくて割高なものほど下落していることがわかります。
理論通りのわかりやすい動きです。
2020年に株価好調で割高になっていたハイテク銘柄を多く含むナスダック(NASDAQ)は売られ、コロナで業績も株価も低迷して割高になっていなかった銘柄を多く含むダウ(DJIA)はナスダックほど大きな下落にならずに済んでいます。
大きく下げなかったのは医薬品・一般消費財・公共サービス株
業界ごとの値動きを見てみると、医薬品株・一般消費財・公共インフラなどは、他と比べて株価下落は小さかったです。
これらの業界はもともと予想PERが小さく、割高ではない銘柄が多いことも下落幅を抑えられた要因かもしれません。
ただし、金利上昇の下落を抑えたいから、これらの銘柄ばかり保有してしまうと、これからのアメリカの景気回復時の株価上昇の恩恵を取り逃すかも知れません。
実は、実質長期金利の上昇はこの1週間緩やかに続いていたので、2月25日を含むこの1週間の株価の変動を見えてみると、金融株・工業株・エネルギー株など景気回復の恩恵を受けられる銘柄の株の上昇率が大きいです。
金利が急上昇しなければ景気の回復の恩恵を受けられる金融・工業・エネルギー株などの銘柄を選びつつ、金利の急上昇にも強い医薬品株・一般消費財・公共インフラも取り込んで守りを固めるスタンスが良いのかも知れません。
また、ハイテク株は割高で金利上昇の影響を受けやすいので、これからも苦戦しそうです。
まとめ
この記事では、金利が上昇した場合にどのような株が大きく売られ、反対にどのような株なら売られにくいのかを見えていきました。
2月25日のたった1日のデータで結論を出すのは早いと思いますが、この日の値動きは次のようなものでした。
- 割高な銘柄ほど金利上昇局面で、大きく売られた。2020年2月時点で割高傾向が見られるハイテク銘柄は要警戒。
- 金利上昇が緩やかで景気の回復の恩恵のほうが大きい場合は、金融株・工業株・エネルギー株が上昇していたが、それらも金利が急上昇した日は売られた。
- 金利が急上昇した日でも、株の下落幅が小さかったのは、医薬品・一般消費財・公共サービス株。
2月25日のように金利上昇で下落するような日が今後も出てくれば、続けて同じような調査をしたいと思います。
なお、私は金利上昇にした場合の対策として、かなり割安で放置されているタバコ銘柄(一般消費財)を上げていました。
予想通りアルトリア・グループ(MO)は金利上昇局面でもそれほど大きな株価下落はしませんでしたが、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)はそこそこ売られてしまっています。
それがなぜなのかは、いまいちわからないのですが、理由が見えてこないうちは1銘柄に集中することなく、アルトリア・グループにも分散させて持つことで対応したいと思います。