テーパリングの開始時期の「年内」は、年末なのかできるだけ早期なのか。

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昨日の記事では、FRBのパウエル議長の口から初めて「年内にも資産規模の縮小(テーパリング)があり得る」という発言がありました。

ただし、「『2021年内』ならあと3-4か月ある」とのんびり構えていると、少し足元をすくわれるかも知れません。

パウエル議長は「年内」と言いましたが、その他のFRBの連銀総裁たちの中には、できるだけ早くにテーパリングを実施したほうがいいと考えている人も少なからずいるからです。

この記事のポイント

  • FRBパウエル議長と他の連銀総裁は一枚岩ではない。
  • パウエル議長と同じく「年内に」テーパリングを開始すべきと考えているメンバーもいるが、できるだけ早く(10月にも)開始するべきという意見も見られる。

年内にテーパリングを開始するべきという意見

このわずか1週間ほどの短い間に、連銀総裁などのFRBの主要メンバーがさまざまなコメントをしているので、彼らの発言を追いかけていくことにします。

まず、最初に取り上げるのはFRBバウエル議長と比較的近い考えの人たちです。

彼らは共通して、「雇用があと数ヶ月上昇すれば、テーパリングを年内のうちに開始できる」と考えています。

クラリダ副議長

  • インフレが十分に上昇。雇用は未だに十分ではないが、改善を続けている。
  • 過去3か月のペースが続くなら、年内にテーパリング開始を支持するだろう。
  • 秋の雇用の進展具合を見てから判断するが、年内には資産購入の縮小が始まるとの見方。

まずクラリダ副議長ですが、秋のアメリカの雇用を強さを見てからテーパリング開始を判断したい旨の発言をしていることから、テーパリング開始は11月か12月頃になると考えているように聞こえます。

次に紹介するクリーブランド連銀総裁とカンザスシティ総裁は、テーパリング開始できるほどに景気が回復したか、もしくはかなり近い将来にそうなると言っていますが、テーパリングの時期は「年内」という表現を使っています。

メスター総裁(クリーブランド連銀)

  • 経済(インフレと雇用)はテーパリングをするのに十分なほど回復したと認識。
  • テーパリングの時期は年内には開始、2022年半ばには終えることを支持する。

ジョージ総裁(カンザスシティ連銀)

  • テーパリングを開始するための経済の回復はすでに達成されたか、かなり近い将来に達成する。
  • 2021年年内のテーパリングは可能。今後も経済の成長や雇用の増加が続くと予想されることからテーパリングは始めるべき。

早くテーパリングを開始できると主張する人たち


次に紹介するのは、「年内と言えども、かなり早くにテーパリングが開始できる可能性がある」と考えている人たちです。

状況によっては年末まで待たずに、早ければ10月にもテーパリングをするべきという考えを持っているように聞こえます。

ボスティック総裁(アトランタ連銀)

  • テーパリングは極めて近くに近く始まることを期待している。
  • 力強い雇用の伸びが続くなら、10月にテーパリング開始でも妥当。
  • テーパリングは2022年第1四半期で終わらせる。速いペースで縮小をすべきで長引かせるべきではない。

ローゼングレン総裁(ボストン連銀)

  • 再び強い雇用統計の発表があれば、9月にテーパリング開始準備が整ったと発表することを支持。
  • その場合には、10月か11月に購入縮小を開始するのが適切だろうと表明。

テーパリングの早期開始について、上の2人よりも強い言葉を使っている人もいます。

カプラン総裁(ダラス連銀)

  • 資産購入の縮小を、文字通り「できるだけ早く」に開始すべきと発言。
  • パンデミックで職を失った人が家族の世話のために職に戻れないなどで、米労働不足は長期化する恐れがある。(賃金上昇=インフレ圧力を懸念か)

ハーカー総裁(フィラデルフィア連銀)

  • 早期テーパリングが望ましい。雇用の回復に必要なのはパンデミックの改善で、金融緩和ではない。
  • サプライチェーンの問題は従来考えられていたほど一時的ではない(インフレ注意)。変異株のリスクにも十分警戒が必要。

ブラード総裁(セントルイス連銀)

  • 資産購入の継続は経済にとって、支援材料よりも悪材料になっている恐れがある。
  • テーパリングはすぐに開始し、2022年第1四半期までに終えるのが良い。

最後に紹介したセントルイス連銀総裁は、やりすぎの資産購入(国債や住宅ローン債権の購入)は悪材料の恐れがあるとも発言しています。

さいごに


この記事では、FRBの主要なメンバーの最近の発言を拾っていきました。

FRBのトップのパウエル議長は「年内のテーパリングがありえる」とマイルドな表現を使って考えを発信していますが、FRBの中には早期にテーパリングをすべきという意見もそれなりにあるようです。

FRBが一枚岩ではないように見える点は、少し注意したほうが良いかも知れません。

パウエル議長はFRBの中でも金融緩和縮小に極めて慎重派で、パウエル議長の発言がFRBのすべてだと思ってしまうと、思いがけずに早期にテーパリング実施することになった場合にヒヤッするかも知れません。

今のテーパリングの議論では株価の影響はそれほどでも無いはずですが、2022年か2023年にも実施予定の政策金利で同じことが起こると影響は大きいと思います。


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