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拡大していくアメリカの長短金利差が意味しているもの

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アメリカの長短金利差の逆転(逆イールドカーブ)を見ていて一つ気づいたことがあるので、書いておきます。

この記事のポイント

  • アメリカの10年国債と3ヶ月国債の利回り差は0.7を超えた。FRBの論文によれば、これは1年以内に景気後退が起こる確率が50%弱に高まったことを意味する。
  • この数字は、11月のFOMCの議事録に書かれていた2023年の景気後退確率と一致する。

イールド・カーブが示す2023年の景気後退確率

既に多くの投資家の人が知っているように、アメリカ国債では10年の国債利回りが3ヶ月ものよりも低くなる珍しい現象(逆イールド現象)が起こっています。

以下のグラフは10年国債利回りから3ヶ月国債利回りを引き算した値をグラフ化したものですが、20年ぶりに大きくマイナスに振れていることがわかります。

大きくマイナスになると何が問題なのかですが、FRBの調べたところによると1年以内に景気後退になる確率が高くなるようです。


出典:NY連銀

現時点では10年債と3ヶ月債の利回り差はマイナス0.73なので、上の表をみると1年以内に景気後退になる確率は50%弱になるそうです。

FOMC議事録

1年以内に景気後退が50%弱という数字でピンときた人もいるかも知れません。先日公開された11月のFOMC(アメリカの金融政策を決める会議)の議事録にも以下のような話が出ていました。

FOMCメンバーは実質経済のベースライン予想に下振れリスクがあると引き続き判断した。そして、翌年(2023年)にかけて経済が景気後退に突入する可能性は、ベースライン予想が実現する可能性とほぼ同じくらいだと見ている。

11月FOMC議事録

少しわかりにくい日本語訳で申し訳ないのですが、要するに2023年のアメリカの景気後退は基本シナリオではないものの、基本シナリオに匹敵するくらい(50%をやや下回る確率)で起こるとFRBは考えているようです。

というわけで、まもなくやってくる2023年の投資のテーマは恐らくアメリカの景気後退になると思います。ただ、景気後退が近づくことで資産価格がどう動くかは予想は少し難しいです。

既に景気後退確率がかなり高まっているにも関わらず、まだ利上げを続けなければならないことを考えるとダラダラと株価下落が続くこともありえます。ただ、景気に配慮してFRBが思ったよりも早く利下げに転じれば、株価の回復は早いかも知れません。

まだ2023年までは1ヶ月あるので、どう振る舞うのが良いのかをじっくり考えたいと思います。現時点では景気悪化でも、金融緩和でも有利になるはずの長期国債買いが良い気がしています。


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