この記事では、8月26日のジャクソンホール後のアメリカ市場の動きについて見ていきます。
「ジャクソンホールって何だ」「どんなことがあったんだっけ」という人はこちらの記事を御覧ください。
ジャクソンホールから既に5営業日ほどがたちますが、今週も同じような傾向が続きそうな気配があるので「今さらジャクソンホール後の話なんて」と思わずに、市場の状況と下落要因を確認していこうと思います。
この記事のポイント
- ジャクソンホール後に米国株の下落が続いている。
- 景気悪化の懸念はあるが企業の業績予想が急に変わったわけではなく、金利が動いた影響で株価が下がっている。
- 金利はまだもう少しだけ今の方向に動くかも知れない。
ジャクソンホール後の1週間で見られた市場の動き
既に多くの人が知っているように、ジャクソンホールではパウエル議長が企業や家計がいくらか傷んでも、インフレを抑えるために高い政策金利を長く続ける考えを示しました。
金融政策の引き締めが続くことは、株価にとってマイナスなので8月28日のジャクソンホール以降のアメリカ株はズルズルと下がっています。
ジャクソンホール後に株価が下がったことは間違いないのですが、なんで株が下がったのかをもう一段だけ深ぼってみます。
株価が下がった要因
株価を決める大きな要因は「将来の利益予想」と「金利」ですが、今後1年の企業の利益予想はジャクソンホール後にそれほど大きく変化していません。
上のグラフはS&P500の1年間の一株利益をアナリストが予想したものですが、ジャクソンホール前後でほぼ変わりはありません。
(景気の見通し悪化に反応する銅の価格は下がっているのですが、株式市場はまだ楽観的です)
となると、原因はジャクソンホール後に株価が下がった原因は「金利」にありそうです。
株価(正確には株のPER)と反対の動きをしやすい実質金利の動きを確かめてみると、ジャクソンホール後に急に上昇しています。
株価に特に影響を与えると言われる米10年実質金利が上昇したので、この悪影響を受けて株価が下がった模様です。
今後の1-2週間の動きについて
さて、株価下落の原因がつかめると、この傾向はもう少しだけ続きそうな気配も感じ取ることが出来ます。
上の金利のグラフを見てみると、米30年実質金利(青)は10年実質金利(赤)ほど大きく上がってないので、ジャクソンホール後にその差は0.3%ほどに縮まっています。
どうも最近の実質金利の動きを見ていると、株が下落から反発する時には30年と10年の実質金利の差が0.1%以下にまで縮まった状態から、拡大に転じています。
現時点も30年と10年の実質金利の差はかなり縮まっていますが、過去の株価の反発に比べるとまだ差が縮まる余地はありそうです。
また、先日から少し気にしているのは、ジャクソンホール前後でS&P500の恐怖指数(VIX)も上昇に転じていることです。2022年のVIXは定期的に上下に動いていて、今は上昇して株価が下落しやすい時期に入った時期に見えるので、今後数週間は株が下落してもそれほどおかしくなさそうです。
明日からレイバー・デー明けの市場ですが、株価にはあまり良くない材料が揃っています。