前回の記事に引き継き、24日の市場の下落の要因を深ぼっていきます。
- 米消費者信頼感指数が悪化。前月からの下落幅は今年最大。
- トランプ大統領、改めて中国との対等な通商を望むと発言。10月の部分的な合意の可能性薄れる。
- 米下院議長の野党民主党のペロシ氏、トランプ大統領の弾劾調査の開始を発表
日本に住む人のとって、一番寝耳に水なのは、3つ目のトランプ大統領の弾劾調査ではないでしょうか。
ブルームバーグによると、オンライン賭けサイトではトランプ大統領が2019年内に弾劾の確率は42%に跳ね上がっているようです。
オッズなのでこの確率は話半分に聞けばよいかと思いますが、いつの間にそんな事になっているのでしょうか。
内容を把握しようにも、複数のニュースサイトを横断しないと概要がつかめなかったので、経緯をここで整理したいと思います。
弾劾調査表明までのあらすじ
どのニュースサイトにも「ウクライナ疑惑」とさらっと欠かれていますが、大統領選にそこまで詳しくない日本人には「なんのこっちゃ」と首をかしげる内容です。
経緯を箇条書きにして追っていきたいと思います。
- 主要な登場人物は共和党・トランプ大統領、野党の民主党バイデン氏。
- バイデン氏は20年大統領選で民主候補の指名争いをしている。日経新聞の報道では、19年9月時点でバイデン氏は多くの世論調査で民主党候補者の中で首位に立っていて、共和党のトランプと大統領選を繰り広げる可能性が高い人物。
- 米議会はウクライナがロシアの侵略行為に抵抗するための軍事支援金を承認していたが、トランプ大統領はウクライナ大統領との7月の電話会談前に、ウクライナへの軍事資金提供を止めるように指示。これはトランプ大統領も認めており、欧州が相応の負担をしていないことに不満だったからと説明済み。
- 問題の「ウクライナ疑惑」の内容は、トランプ大統領がウクライナ大統領との電話会談で、支援金の提供の見返りに、バイデン氏の息子がウクライナのガス企業役員に就任した際に汚職があったかの調査をするように迫ったのではないか、というもの。
- 「もしも疑惑が本当なら、支援金を利用して選挙を有利に戦う情報を引き出そうとした罪だ」と野党民主党はトランプ氏に迫る。24日民主党のペロシ下院議長は、大統領の弾劾調査を開始すると発表。
- トランプ大統領は、何も悪いことはしていないと潔白を表明。ウクライナ大統領との電話会談の内容を25日に公開すると公言。
トランプ大統領の解任の可能性は低い
ただし、個人的には、トランプ大統領が辞めさせられる可能性はかなり低いと思っています。
制度的には、下院の過半数が弾劾裁判の実施に賛成票を投じれば、上院で弾劾裁判が開始されます。今の下院は野党(民主党)が過半数を締めているので、弾劾裁判の開始までは持ち込めると思います。
それでも、仮に弾劾裁判が始まっても、「有罪判決が出て」かつ「上院の3分2の賛成」がない場合には、大統領は解任させられません。
肝心な上院はトランプ大統領の共和党が53%の議席を持っているので、辞めさせようとする民主党の47%の議席だけでは「上院の3分の2が賛成」が達成不可能です。
なので、弾劾調査のニュースは寝耳に水でしたが、調べるほどトランプ大統領が解任させられる可能性は低いのではないかと思っています。