最近になってツイストオペ(オペレーション・ツイスト)という言葉を聞く機会が少しずつ増えてきました。
以下のニュース記事でもバンク・オブ・アメリカが「アメリカ中央銀行のFRBはツイストオペをするべき」と言っていたり、言葉を知っておかないと何を言っているのか分からなくなってしまいます。
>>FRBはツイストオペ復活を、「一石三鳥」になる公算大-BofA(ブルームバーグ)
この記事では「ツイストオペとは何か」、「なぜ注目されているのか」、「投資家への影響」を考えていきます。
まだFRBがツイストオペを採用するとは聞いていないですが、もしもこの策を実施するなら、私は銀行株の保有を減らそうと思っています。
この記事のポイント
- ツイストオペとは中央銀行が長期国債を買い取りつつ、同時に短期国債を売ること。
- これにより株価に悪影響を与える長期金利の上昇を抑えつつ、市場のさらなるカネ余りを抑えることができる。
- もしもオペレーション・ツイストを実行するなら、米銀の金利収入が減ることになるので、私は銀行株の保有を減らす予定。
ツイストオペとは
あまり聞きなれない言葉ですが、ツイストオペとは金融政策の1つです。
具体的には中央銀行が長期国債を買いつつ、同時に短期国債を売ることをします。(反対に、短期国債を買って長期国債を売るのもツイストオペと言います)
まだツイストオペを実施していない今の中央銀行FRBは、景気を支えるために国債を市場から買い続けて、市場は大量の現金を手にしてカネ余りの状態が出来上がっています。
FRBが買い取っている国債の中には期間が数ヶ月の短期国債も、7-10年以上の長期国債も含まれているのですが、ツイストオペではFRBは長期国債だけ買取り、同時に短期国債は売るという変わったことをします。
長期国債を買い取っただけでは市場に資金が増えてしまいますが、すぐに短期国債を売って市場から資金を吸収することで、ツイストオペではさらなるカネ余りを抑えることができます。
FRBでは1961年に初めて採用されて、過去には2011年でも実施していました。
なぜ注目されているのか
冒頭でも話をした通り、最近になってFRBはツイストオペをするべきという意見が増えています。
特に2月以降にこの意見が増えてきた背景には、21年2月に長期金利が上昇し、米国株が下落した件があります。(一般的には長期金利が上昇すると、株価は下落しやすくなります。)
>>インフレと長期金利の上昇を意識した1ヶ月【21年2月振り返り】
長期金利が上昇すると株価下落して困るなら「FRBが長期国債を買う量を増やせば、長期金利が下がるのではないか?」と思うところですが、単純に長期国債を買う量を増やすと、さらなるお金のバラマキが起こってしまう恐れもあります。
そこで、さらなる資金のバラマキを抑えながら株価に悪影響が出る長期金利上昇を抑えるために、ツイストオペが注目されているようです。
ツイストオペが採用された場合の投資家への影響について
もしもツイストオペが採用されたら、たぶん投資家には次のような影響が出ます。
ツイストオペの影響
- 長期金利上昇を抑えることができ、21年2月に見られたような割高株の下落を抑えられる。(割高株の投資家にはメリット)
- 長期金利の上昇が抑えられるので、銀行は金利収入が減る(米銀行株の投資家にはデメリット)
- インフレ率上昇を抑制する効果があると言われている。(石油・金鉱株などの資源株の投資家にはデメリット)
個人的に影響が大きいのは2点目です。
私は2021年は景気が良くなって長期金利が上昇すると思って銀行株を買っていたのですが、もしもFRBが本当にツイストオペを採用すると決めたら長期金利の上昇しにくくなって狙いがハズレてしまいます。
なので、その場合は米銀行株の保有は減らそうと思っています。
長短金利差拡大の恩恵を受けるアメリカの銀行に投資する
この記事では、なぜ2021年以降に銀行株にチャンスがあると私が思っているのかを少し詳しくお話し、さらにどの銀行がチャンスが大きそうかを数字を拾いながら考えていきます。
また、3点目を見ると分かるように、ツイストオペにはインフレ率を抑制する効果もあります。
ただし、今までFRBはインフレ率は今後一時的に増加したとしても、安定して2%超えるレベルにはまだ全然達していないという見方をしています。
今のFRBもその認識を持値続けているなら、目標としているインフレ率2%超えから遠ざかってしまうツイストオペを本当に実施するのか、私には少し疑問です。