久々にアメリカの新規失業保険申請数を取り上げます。
今のところ雇用の状況は特に何も変わっていません。相変わらず、失業者は低いままで雇用は強い状態が続いているように見えます。
一見すると雇用が強いことは良いことのようにも見えますが、インフレを抑えたい今のアメリカに限っては、米国株にとって必ずしも良い面ばかりではないと思っています。
この記事のポイント
- アメリカの失業者はまだまだ低いまま推移している。最近は新規失業保険申請数が横ばいのまま推移。
- アメリカのインフレ問題解決までの道のりは長い。
強い雇用が続くアメリカ
昨晩、アメリカで1週間の新規失業保険申請数が発表されました。
結果は予想していたよりも低い失業者数にとどまっています。
- 結果:24.3万件(予想25.2万件)
- 前回:25万件から24.5万件に修正
下の図は、新規失業保険申請数の4週間の平均値をグラフにしたものですが、4月以降伸びていた失業者が最近では横ばいになっていることがわかります。
現在の24万件の新規失業保険申請数は、およそコロナ前の2019年と同じような水準です。そのときも歴史的に低い失業者の水準だったので、今のアメリカの雇用は強い状態が続いているのだと思います。
雇用が強いことの意味
通常ならアメリカの雇用が強いことは「景気が強くて良い」はず。
しかし、インフレを抑えたい今のアメリカにとって雇用が強いままというのは、少し困ったことになります。
7月の雇用統計の結果が予想以上に強くて多くの投資家驚いたのは記憶に新しいですが、この時に発表された賃金上昇率は前年比5%超えでした。
雇用が強くて賃金上昇が高い水準で伸びている限りはインフレが収まらないので、FRBは(本来はやりたくないことですが)いくらか失業者が増えたとしても、賃金上昇を抑えなければならないと思います。
つまり、雇用が強い今の状態が続けば続くほど、高い政策金利の状態が長く続く展開になる恐れがあり、これが数ヶ月から1年程度かけて株価を押し下げる可能性があります。
米国株にはまだ消極的
私は今まで米国株を主に投資してきました。しかし、今はアメリカの厳しい金融引き締めを理由に、米国株にはかなり消極的です。
金融引き締めが終わるためにはいち早くインフレが目標の2%に近づく必要がありますが、高い賃金上昇の状態が続いて目標達成の見通しが立たないなら、代わりとなる有効手段は景気後退が早く訪れることなのではないかとも思っています。
景気後退(≒失業率の上昇)もしばらく本格的に到来しないのなら、米国株は厳しい金融引き締めに長いことさらされることになるので、株価にとって厳しい時期がまだ続くと思っています。