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景気が悪くなる前の時期に学んだこと。先走る予想とそれを防ぐためのデータ。

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根拠ない自信に満ちた初期

最近、あらためて投資は本当に難しいなとよく思います。昔やった失敗も、気づかないうちに未だに繰り返してしまうからです。

投資を始めてから数週間、2007年夏サブプライムローンの懸念から一斉にあらゆる資産が売られている中、なけなしのお金をつぎ込んだ直後に反発したときには、「底値で買えた!自分は投資に向いているんじゃないか」と思ったものでした。

今思えば、あの時の一番自信に満ちあふれていたのではないかと思います。

投資に限らず何にでも言えることですが、初心者から熟練者になるまでに経験する熟練度と自信の関係にはダニング・クルーガー曲線なるものを描くそうです。

横軸が「習熟度」、縦軸が「その時の自信」になっていて、人が何かを学んでグラフの左から右へと習熟度が大きくなるに連れて、その人の自信がどのように変化するかを表しています。

これを見ると「根拠ない自信に満ちた初期」、「自信を打ち砕かれる中期」、「頭(こうべ)をたれながら、決して100%の自信には到達しなまま習熟を迎える後期」といった段階を経て専門家の域に達するようです。

ちなみに2007年夏の自信満々で私が下した「底値」予想は、そのときが底値どころか翌年のリーマン・ショックすら来ていなく、結局本当の底値は2009年春に訪れるという1年半も早い予想をしていました。

そして、それから長い年月が過ぎましたが、自分はまだ良くて「自信を打ち砕かれる中期」か、ともすると「根拠ない自信に満ちた初期」にいる恐れもあります。2019年はまだ景気後退は来ていないものの、早くも2007年と同じような失敗をしている可能性があるからです。

共通するのは「現実よりも早すぎる予想」です。

早すぎる予想:「予想は現実より先走る」

前のリーマン・ショックでは、「今が景気の底だと思っても、まだ大きな下落は始まってすらいない」ことを実感しましたが、それから12年経った2019年も似たような体験をしています。

2019年の今感じているのは「これから景気後退が来ると思っても、まだまだ景気後退入りには遠い」と言うことです。景気の後退を見越して2019年前半には毎月の株の定期購入を止めていましたが、今ではその判断は早すぎたなと反省しています。

【2019年3月振り返り】景気後退シグナルと今後の投資方針。

たぶん人の予想は、いつも先走って早めに予想をしてしまうのだと思います。毎日警戒してチェックしているものは早く訪れると錯覚するのでしょう

2019年はまだ景気後退入りをしていませんが、2007年と2019年の景気後退入り前の状況から「感覚にたよった予想はいつも現実よりも先走ってしまう」ことを学びました。

先走る予想を防ぐための方法:「数字を見る」

現実よりも予想が先走ってしまいがちなら、世界の重要な役職につく人たちが、どうやって予想の先走りを防いでいるのか、すごく気になりました。

2019年1月から8月までFRBやIMFなど、経済の重要な決定を下す人たちが口々に言っていたのは「アメリカの消費はまだ落ち込んでいない」「緩やかな景気回復が続いている」という言葉です。

私の先走る予想よりも、当然FRBやIMFの認識のほうが遥かに正確だったわけですが、なぜ彼らそのように正確に物事が見えているか根拠の部分の発言に注目すると、並んでいるのは「インフレ率」「失業率」「賃金上昇率」「GDP」という単語です。

専門家の人たちは予想や現状認識が先走っていないかを見るために、経済指標の数字を使って毎月認識のズレを補正していることに、気づきました。

私はイマイチ数字の意味がピンとこないからと、経済指標はなんとなくニュースを斜め読みする程度に済ましてきましたが、敬遠してきたツケが回ってきたようですね。しょうがないので今年は観念して数字に向き合うことにしました。

今年このブログではGDPだのISMだの経済指標の記事が増えた背景には、こんな事情があります。

まとめ

最後に久々の景気後退期を前に、学んだことをまとめておきます。基本的なことで恐縮です。

  • 景気後退すると思っても、まだ来ない。底値だと思ってもまだ来ない。予想はいつも現実よりも先走る。
  • 予想や現状認識を補正するためには、経済指標に目を配る。特にFRBが注目している失業率・インフレ率・GDPには注目をする。

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