【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。

  • yuta 
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更新情報(5/29):逆イールド現象の調べ方を本記事末に追記しました。


2019年は年初から景気後退局面入りの懸念が度々議論されてきましたが、3月22日以降「逆イールド」とも呼ばれる景気後退の兆候を示すサインも度々ではじめ、いよいよ警戒レベルが上ってきています。

「逆イールド現象」とは3ヶ月米国債利回り*が10年国債利回りを上回る現象を指しますが、この現象はこのめったに起きない現象がなぜ景気後退のシグナルと呼ばれるのか、この現象が起こった場合に何が起こるのかをこのページでまとめておきます。

(*なお、米国の金融政策を決めるFRBでウォッチしているのは3ヶ月米国債利回りではなく、正しくは3カ月物財務省短期証券Tビルなので微妙に異なります。)

逆イールドとは何か

通常、長期の金利は短期の金利よりも高い傾向にあります。例えば、住宅ローンでも10年固定金利で借りる場合は、3年固定金利で借りる場合よりも通常かなり高い金利になります。

しかし、めったに起こらない現象ですが、まれに長期の金利のほうが、短期の金利よりも安くなる現象が見られます。この逆転現象のことを「逆イールド現象」と呼びます。

2019年の場合は主に景気減速懸念から長期国債が買われて、短期国債よりも利回りが低くなったことで逆イールド現象が生じています。2007年以来、実に12年ぶりに発生でした。

なぜ逆転イールド現象は不況のシグナル

では、なぜFRBは逆イールド現象の発生をウォッチしたり、その発生がニュースになって報道されるのでしょうか。それは、逆イールド現象が、リセッション(景気後退)が起こる前触れのシグナルと考えられているからです。

過去50年において、アメリカでリセッションが起きる前には、ほぼ確実に逆イールドが見られていました。逆イールドが起きたにもかかわらず、リセッション入りしなかったのはたった1度だけしかないのです。

逆イールド発生後からリセッションまで1-2年かかる

ただし興味深いのは、逆イールド現象が起こってから株価は下落するどころか、数ヶ月から数年の間は株価が上がることです。実際に、過去の30年間で起こった3回の逆イールド現象では、いずれも逆イールドが発生してから、株価がピークをつけ、その後に景気後退が発生しています。

逆イールド発生時期 株価のピーク時期 景気後退時期
1989年5月 1990年6月(13ヶ月後) 1990年7月(14ヶ月後)
1998年9月 2000年8月(23ヶ月後) 2001年3月(30ヶ月後)
2006年2月 2007年10月(20ヶ月後) 2007年12月(22ヶ月後)

リセッション直前に、逆イールド現象は解消される

また、逆イールドはリセッション入りする前に解消されることが多いこともわかっています。リセッション入り直前では、中央銀行が政策金利を引き下げる影響で短期国債利回りも下がりやすく、逆イールド現象が解消されるからです。

しかし、中央銀行の金利引き下げは、いよいよ来る不況がすぐそこまで忍び寄っていることを意味します。

[2019/05/29更新]:現時点の逆イールド現象の調べ方

さて、個人で毎日米国の国債利回りを調べて(10年米国債利回り)-(3ヶ月米国債利回り)の引き算していくのは大変なので、数日遅れではあるものの日々のデータを更新してグラフ化してくれているFREDというサイトを最後にご紹介します。

FRED

上記のリンクをクリックすれば、(10年米国債利回り)-(3ヶ月米国債利回り)の金利差をグラフ化したものが表示されているはずです。グラフの期間を最長にすれば1980年代前半まで遡ることができます。

この図の見方ですが、灰色に網がかっている帯が米国の不況を表しています。そして、注目はその灰色の手前で(10年米国債利回り)-(3ヶ月米国債利回り)の金利差がマイナスになる逆イールド現象が起こり、逆イールド現象が解消してからしばらくしてから不況に突入することです。

2019年5月現在では金利差は上記の図のようにわずかにマイナス圏内に突入していますが、今後マイナス幅を広げて底を打ってからプラス圏内に復帰したら、いよいよ不況が近いと心構えをする必要があります。

なお、先程もふれましたが、FREDのグラフはデータの反映が数日遅れて表示されます。情報の鮮度を優先する方は、YCHARTSのこちらのサイトも合わせて御覧ください。

10 Year-3 Month Treasury Yield Spread(YCHARTS)

この記事では、普段投資をしていてなかなか耳にしない「逆イールド」について触れました。10年に1回ほどしか発生しない現象ではあるものの、リセッションに突入することを高確率で事前に察知する重要指標になります。ぜひ、今後の投資判断にお役立てください。