【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。

  • yuta 
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2019年3月22日、3ヶ月米国債金利*が10年国債利回りを上回る現象が起きました。この現象は「逆イールド」とも呼ばれるのですが、このめったに起きない現象がなぜ景気後退のシグナルと呼ばれるのか、この現象が起こった場合に何が起こるのかをこのページでまとめておきます。

(*正確には、3カ月物財務省短期証券Tビルの利回りのことを指します)

逆イールドとは何か

通常、長期の金利は、短期の金利よりも高い傾向にあります。例えば、住宅ローンでも10年固定金利で借りる場合は、3年固定金利で借りる場合よりも通常かなり高い金利になります。

しかし、めったに起こらない現象ですが、まれに長期の金利のほうが、短期の金利よりも安くなる現象が見られます。この逆転現象のことを「逆イールド現象」と呼びます。

そして、アメリカの中央銀行に相当するFRBは、長期金利の指標として10年物アメリカ国債金利と、短期金利の指標として3ヶ月物国債金利を特に注意してウォッチしており、この金利が逆転現象が見られたというのが2019年3月22日のニュースでした。

これは2007年以来、実に12年ぶりに見られた現象でした。

なぜ逆転イールド現象は不況のシグナル

では、なぜFRBは逆イールド現象の発生をウォッチしたり、その発生がニュースになって報道されるのでしょうか。それは、逆イールド現象が、リセッション(景気後退)が起こる前触れのシグナルと考えられているからです。

過去50年において、アメリカでリセッションが起きる前には、ほぼ確実に逆イールドが見られていました。逆イールドが起きたにもかかわらず、リセッション入りしなかったのはたった1度だけしかないのです。

逆イールド現象が発生してリセッションが起こるのは、短期的な借り入れの金利が高く付くので、企業・一般消費者ともにお金の消費を抑えられて、世の中のカネ回りが悪くなるためです。

短期金利が長期金利を上回るほど上昇すると、短期の借り入れで金利を多く払う必要が出てきます。こうした状況では、企業が運転資金を借りるにも金利支払いが高く付くため、経営者は銀行から資金を返して投資しようとはしなくなります。また、一般消費者の短期的な資金の借り入れを抑制するため、米経済の3分の2以上を占める個人消費も減速してしまいます。

そうして次第に企業・一般消費者ともに消費が減少し、売上減少に繋がって景気後退がはじまります。

逆イールド発生後からリセッションまで1-2年かかる

逆イールド現象が発生すると、資金の借り入れが少なくなり企業と一般消費者の消費が減ると言いましたが、これは逆イールドが起こってからすぐに発生する現象ではなく、じわりじわりと進行していきます。なので過去のデータを紐解くと、逆イールド現象発生から、消費が落ち込み、景気後退と言えるまでに世の中が冷え込むまでに、およそ1年から2年かかることがわかります。

興味深いのは、逆イールド現象が起こってから、数ヶ月から数年の間は株価が上がることです。これは、逆イールド現象が発生してから、FRBは景気の後退を引き止めるために景気刺激的な金融政策を取ることが多いことから、逆イールド発生後しばらくして、株価が上がっていくためです。

実際に、過去の30年間で起こった3回の逆イールド現象では、いずれも逆イールドが発生してから、株価がピークをつけ、その後に景気後退が発生しています。

逆イールド発生時期 株価のピーク時期 景気後退時期
1989年5月 1990年6月(13ヶ月後) 1990年7月(14ヶ月後)
1998年9月 2000年8月(23ヶ月後) 2001年3月(30ヶ月後)
2006年2月 2007年10月(20ヶ月後) 2007年12月(22ヶ月後)

リセッション直前に、逆イールド現象は解消される

また、逆イールドはリセッション入りする前に解消されることが多いこともわかっています。逆イールド現象発生から1年程度経過し、逆イールドが解消されたら、いよいよ来る不況がすぐそこまで忍び寄っていることを意味します。

なお、逆イールドで、リセッションの長さやその規模を予測することはできないというのが一般的の見方のようです。

この記事では、普段投資をしていてなかなか耳にしない「逆イールド」について触れました。10年に1回ほどしか発生しない現象ではあるものの、リセッションに突入することを高確率で事前に察知する重要指標になります。ぜひ、今後の投資判断にお役立てください。