早いもので1月も残りあと1週間となりました。
1月に入ってから2021年の市場とは少し違う動きをしたように思えたので、ここまでに気づいたことをまとめてみたいと思います。
この記事のポイント
- 投資家が利上げに身構えはじめた。具体的には、2022年の政策金利の引き上げ(利上げ)予想の回数が増えた。
- 利上げは景気を冷やす効果があるので株価は下落している。特にハイテク株ほど大きな下落が起こっている。
- 一時的かもしれないが、1月18日頃から不況に強い長期国債が買われ始めた。次の不況に備える動きが投資家の間にあるのかもしれない。
投資家がさらに利上げを織り込んだ
今年は年明けからFRBの主要メンバーが利上げについてコメントして、利上げへ布石を打つなどの動きが見られました。
そうした影響もあって、投資家は今まで3回だった2022年の利上げ予想回数を一時的に5回にまで引き上げています。(この記事を書いている時点では再び年内4回に戻りました)
>>市場の2022年の利上げ予想は5回に引き上げ。6回目も視野に入る(22年1月22日記事)
株価とインフレ率予想が下落
利上げは基本的には景気を冷やす効果があります。
この効果を利用してFRBは過熱しているインフレを抑えようとしているわけですが、副作用として株価の下落が起こっています。
特に割高なハイテク株ほど利上げの影響を受けやすいので大きく下落しています。
株価下落の補足
この記事を書いている1月24日時点ではアメリカの企業の決算期は金融業界くらいしかまだ発表がないのですが、次の決算発表で利益があまり伸びていないことを経過して決算前に株が売られている可能性もあります。
今回の決算で利益が伸び悩む原因はいくつか思い当たります。
次の不況に備える動きがわずかに見られる
投資家の間で景気を冷やす利上げが意識されたからなのか、1月後半からは不況に強い長期国債が買われる動きもわずかに見られます。
22年年明けから、10年国債は売られて利回りは上昇していたのですが、1月18日を堺に10年国債が買われる動きが見られています。
ただ、この動きは一時的かもしれません。私は2022年のどこかで10年米国債は利回りが2.2%〜2.3%になるまで売られても不思議ではないと思っています。
しかし、少し見方を変えて他の短期債(たとえば2年債)と比べてみると、10年米国債は2021年3月から相対的には買われるように見えます。
上のグラフを見ると、現在の10年債と2年債の利回りの差は2018年2月と同じ水準まで低下しています。
2018年2月は利上げに耐えられず市場が乱れるまで10ヶ月というタイミングです。今の投資家たちは景気の後半を見据えていることがわかります。
さいごに
この記事では、2022年の1月の市場の変化を見ていきました。
基本的にはインフレ対策の意識が強まって2022年に予想される利上げ回数が増え、その悪影響を受ける株が下がったというのが大きなシナリオのようです。
そして、問題の元凶になっているインフレ率は今後どのようになるかと言うと、投資家たちは割と楽観視しているようです。
投資家による今後5年の予想インフレ率を見てみると、2021年11月頃に予想していた3.1%からスルスルと下がっているようです。
投資家はFRBによるインフレ対策の強化が効果を発揮すると見ているのか、それとも不況が訪れてデフレがインフレを退治すると思っているのかわかりませんが、長期国債の買われ方を見ていると不況を意識している投資家もいるようです。