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米国株の下落の要因、金利から一株利益に変わりつつあるか。

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12月に入ってから、米国株のS&P500はどこか不調です。この2日間は1%を超える下落も続いています。

まだ12月が始まって1週間なので判断は早いのかもしれませんが、下落の要因が変わってきたのかもしれないと思っています。

この記事のポイント

  • 2022年の米国株は10月まで金利の影響を受けて下がってきた。
  • しかし、11月は金利と株価の動きは連動性を失い、12月に入ってから金利は低下して追い風が吹いているのに、株は下落している。
  • 米国株が下がる要因は、金利から業績予想の悪化に変わってきたかもしれない。

先月までの下落要因


2022年11月までの米国株を動かしていたのは金利でした。金利の中でも特に、10年国債利回りの実質金利(長期実質金利)が主な要因だったと思います。

長期実質金利が上昇すると株価が下落し、反対に長期実質金利が低下すると株が上昇する流れがありました。

次の図では長期実質金利とS&P500の関係をグラフ化してみました。(2つの関係をわかりやすくするために、長期実質金利の縦軸は反転させています)

長期実質金利が上昇すると(白い線が下に向かうと)、あわせて株価が下落している様子がわかります。

しかし、上のグラフもよく見ると11月以降はS&P500と長期実質金利があまり連動しなくなっています。

そして、12月に入ってからは長期実質金利はほとんど横ばいのままなのですが、冒頭でも見たようにS&P500は下落しています。このことからS&P500が下落する要因が金利から別のものに移ったようにも見えます。

12月の株価を下げる要因

では、S&P500を下げている主な要因が長期実質金利ではないとすると、次に考えられるものは何でしょうか。

シンプルに考えると株価は金利と一株利益で決まる場合が多いです。

  • 金利が上昇した場合:PERが低下して、株価が下落する。
  • 一株利益が低下した場合:株価が下落する。

なので、金利が下落要因ではないなら、一株利益予想が低下しているのかなと考えられます。

ただ、Refinitivのレポートで先週末(12月2日)時点のアナリストたちによる今後1年間のS&P500の一株利益予想を見ても、12月に入ってから特に変化はないように感じます。

今週になって一株利益予想が低下したかは確認する必要がありますが、もしも一株利益の予想が低下しているとなると少し雲行きが怪しくなります。

2022年は第1四半期をピークにして既にS&P500の一株利益は低下をはじめていますが、その下げ幅はまだ小さく期間も短いので、まだまだ利益悪化による株価の下落余地が大きい点には警戒が必要です。

まだ、景気後退前の本格的な一株利益の低下が始まったとはまだまだ言い難い状況ですが、可能性の一つとして一株利益の低下が背景にあるかもしれないと頭の片隅に入れておくのもいいと思います。


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