まだまだ長い夜の中
ぼんやりとこんなことを考えていました。私達は実はまだ長い不況の中に生きているのではないかと。
2007、2008年のサブプライム・リーマンショック時のような金融恐慌はひとまずおさまりましたが、どうにも頼りないです。
アメリカがようやく金利正常化に向かい始め、イギリスは金利上げるかどうかの議論中。一方、EUと日本はまだまだ不況は脱しておらず、中央銀行は景気刺激策を強める方向へと進んでいます。そうしているうちに、今後は中国がクシャミをはじめて、世界経済がまた風邪を引くのではないかと懸念されています。
中国の景気減速は、サブプライム・リーマンショック以降の借金
さて、なぜこのタイミングで中国の景気減速が盛んに言われているかというと、一言で言えばサブプライム・リーマンショック時の過剰な景気刺激策や借金による息切れでしょう。
サブプライム・リーマンショックで、欧米日と先進国の景気が縮こまっている時に、中国は世界経済を牽引するがごとくの景気拡大を続けてきたわけですが、それも多額の景気刺激策と借金を増やすことによって高いGDP成長を続けてきました。
借金は未来の資金を借りて、現在の成長を加速させる力があります。2007年から昨年までは未来の資金を借りて順調にGDP世界2位の座に上り詰めましたが、この借金のツケをこれから払わなければなりません。アメリカの金利の上昇や、中国人民元の切り下げにより、ドル建て債権の支払い負担はますますこれから大きくなるからです。
この中国の景気減速と人民元安は、他のライバルの新興国の通貨安と景気後退を招きます。こうして世界の景気減速は原油や素材の需要を引き下げ、不安定な商品相場をつくっています。
このように最近の景気はGDP世界第2位の中国の減速は、貿易を通じて新興国や世界の経済への打撃を与えるわけですが、根本はリーマンショック・サブプライム時の景気拡大策の中国の借金だとすると、私達はまだまだサブプライム・リーマンショックの幻影に包まれているのかも知れません。
今回と同じく金利がゼロまで下がった1929年のときには株価回復まで25年かかったわけです。今回は株価こそ既に元の水準に回復していますが、サブプライム・リーマンショックの影響を今も引きずっているというのは、大げさな表現でもない気がしてきます。
サブプライム・リーマンショックからの復活はいつ
では、いったい世界経済はいつサブプライム・リーマンショックから立ち直るのでしょうか。それは欧米に日本、中国を加えた大国の中央銀行・企業・民間の借金の伸びが、GDPの伸びに比べてずっと小さくなった日のことをいうと思いますが、これにはまだ巨大な壁が待ち構えています。
最大の壁は、各国の中央銀行が債権を買い支えなくなる日、中央銀行が買っていたものを市場で売却する側にまわる日ですが、これを緩やかに実行できるようになった時、世界経済にとってのサブプライム・リーマンショックは終わりを迎えます。
お察しのとおり、これはまだまだ数年からひょっとすると十年弱かかるかも知れません。
このサブプライム・リーマンショックにとらわれている時間が、長期投資家がもっともじっくりと株を蓄えるべき時間です。サブプライム・リーショックは100年に一度の危機といわれましたが、その100年に一度のチャンスはまだ終わったわけではないと思っています。