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アナリストは2023年に強気でも、上半期は要警戒。

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S&P500の次の下落の要因は一株利益の悪化だと思っています。

なので、アナリストがS&P500の一株利益予想をどのタイミングで大きく下方修正するのかを見ているのですが、最近はあまり大きな変化は見られません。今のところ「2023年に厳しい景気の悪化はないですよ」と言わんばかりに強気な予想を保っています。

アナリストの言うように本当に2023年に一株利益の大きな悪化はないのか、データをいじって調べてみました。

この記事のポイント

  • フィラデルフィア連銀製造業指数には「6ヶ月先の新規受注見通し」という数字が毎月発表されている。
  • この「6ヶ月先の新規受注見通し」のデータはS&P500の一株利益の伸び(前年比)に約6ヶ月先行して動く傾向がある。
  • 最近の「6ヶ月先の新規受注見通し」は大きく低下している。連動が崩れなければ、これから半年でS&P500の一株利益が大きく低下するかも知れない。

強気予想を保つアナリスト

先日の記事で12月から株価が下がっている要因に、一株利益の低下があるかも知れないと書きました。

>>米国株の下落の要因、金利から一株利益に変わりつつあるか。

しかし、12月9日に発表されたRefinitivのレポートでは、アナリストによるS&P500の下方修正は見られませんでした。

さらに、アナリストは2022年10-12月でS&P500の一株利益の伸び(前年比)の低迷は終わり、2023年には一株利益は上昇すると今のところは考えているようです。

上のグラフには、過去の景気後退時の一株利益の低下の様子も載せましたが、あたかも2023年は景気後退にならない(なっても軽い利益減少ですむ)とアナリストは思っているかのようです。

本当にS&P500の一株利益は下がらないのか

本当にS&P500は2023年に一株利益を回復できるのか、少しデータをいじって見てみようと思います。

S&P500の一株利益と連動するデータで真っ先に思いつくのはISM製造業指数です。

しかし、下図のように現時点までのISM製造業指数の悪化は、既に一株利益のアナリスト予想に組み込まれているように見えます。

ISM製造業指数を使って2023年のアナリスト予想が甘いことを示すのは少し難しそうです。なので、ISM製造業指数に先行するようなデータを使って、2023年の一株利益を占えないか調べてみます。

試しにフィラデルフィア連銀が発表している「製造業の6ヶ月先の新規受注見通し(Manufacturing Business Outlook Survey:Future New Order)」のデータを使って見ると、このデータでも割ときれいにS&P500の一株利益と連動していることがわかります。

そして、ありがたいことに「製造業の6ヶ月先の新規受注見通し」はS&P500の一株利益にだいたい6ヶ月ほど先行して連動しているので、最近の「製造業の6ヶ月先の新規受注見通し」を見ることでこれから半年のS&P500の一株利益の傾向を占うことが出来ます。

上のグラフで見た通り、S&P500はこれから半年は一株利益が大きく低下するかも知れないという結果が出ました。

2023年の前半で企業の利益がつまずくかも知れないという結果は、カンファレンスボードが毎月発表している景気先行指数とも一致します。

景気先行指標は8ヶ月連続で下落した。経済は今景気後退に入っている可能性がある。(中略)また、景気後退は22年末頃から始まり、2023年の半ばまで続くだろう。

(カンファレンスボード,2022年10月米景気先行指数発表プレスリリース)

やはり、注意するのは2023年前半のようです。そして、2023年後半は株価が底打ちして投資機会に恵まれるといいなと希望を持っています。


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