Visaは相変わらず、好調をキープしています。2019年6-9月期の決算が発表されましたが、ちゃんと収益も調整後利益もアナリスト予想を超えてきました。株価は時間外で1.3%上昇しています。
- 一株利益:$1.43の予想を上回る$1.47上回る。
- 収益:60.8億ドルの予想を上回る61.4億ドル(前年比+13%)。
- 配当:一株あたりの配当金を20%引き上げを発表。
実は今回の決算では、調整前利益ではアナリスト予想を下回ってしまったのですが、調整済みのものはちゃんと予想を超えてきています。
2年間予想を上回り続けたVisa
良い企業は、決算でアナリストの予想を超える数字をたたき出すとよく言われます。そして、優秀な企業のお手本のように毎回毎回アナリスト予想を上回ってきているのが、Visaです。
この2年間、利益も売上(収益)も共にアナリスト予想を超える決算を連発してきました。
良い銘柄ですね。若干出来すぎていて、怖いくらいです。実はマスターカードも、Visa同じ様に利益も収益も2年間一度も予想を下回っていないのですが、この業界はアメリカの拡大し続ける個人消費と、インターネットを使った電子決済の波にうまく乗れているようです。
気がかりな点があるとしたら、Visa単体ではなく、アメリカの長い景気拡大がいつまで続くかです。アメリカの売上はかなりの割合を占めているので、アメリカの景気が低迷して個人消費が鈍ると、Visaの収益も軟化するかもかもと知れないと感じています。
順調に決済額と利用回数を
これからは資料を振り返りながら、もう少しだけVisaの決算に踏み込んでいきたいと思います。
まず、Visaの決済額(Payment Volume)ですが、こちらは今期も順調でした。クレジットカードよりも、デビットカードのほうがまだ伸びしろがあり成長を牽引している構図も前期と同じです。ただクレジットカードも頑張っているようで、前期の+3%成長から+6%成長へと大きくなっているのは、良い点でした。
利用回数(Transaction)は、データ処理収入に直結するTotal transactionは前期+10%から+11%に改善されています。
ちなみに図に書いてあるTotal TransactionとProcess Transactionの違いも書いておきます。
- Total Transaction(左側のグラフ):「認証した回数」、「カード決済の回数」、「支払金額集計(クリアリング)の回数」などvisaのネットワークでやり取りした回数全てを全てを含んでいます。この回数は、データ処理収入に直結します。
- Process Transaction(右側のグラフ):「カードの決済」の数だけを集計しています。クレジットカードやデビットカードの利用回数が見れるので、こちらの指標のほうが解りやすいかも知れません。
データ処理収入と国際決済収入は成長加速
Visaは3つの収入源を持っているのですが、今回の決算ではそのうちの2つの「データ処理収入」、「国際決済収入」で成長の加速が見られました。
- サービスビジネス収入(Service Revenue):金融機関が発行するvisaカードの発行を手助けする対価として、金融機関発行のvisaカードの利用金額に対して一定金額を収益としてもらう。
- データ処理収入(Data Processing Revenue):visaカードの認証、決済、クリアリング(支払い額の集計処理)などのvisaの決済システム利用料。システムの利用回数ごとに、収入が発生。
- 国際決済収入(International Transaction Revenue):国をまたぐ決済処理の収入。為替収入も含む。
データ処理収入が前期+13%から+16%へと加速しているのはいい感じです。さらに、今後業界的に伸びると言われている国際決済も前期+9%から+11%へと成長が加速しているのは好感が持てます。
残念な点をあげるすれば、サービスビジネス収入は前期+10%成長から+9%へと減速しています。全ての事業でうまくいくのは難しいので、ここは次は頑張ってほしいところです。
過去の資料も含めて、こちらのPresentationと記載がある箇所からダウンロードできますので、今後のVisaの企業研究にお役立てください。