ビザの決算発表(23年度第1四半期)があったので、ここで取り上げたいと思います。
ビザはいつもどおりの無難な決算を発表していたので、その数字を見ていきます。ビザは成長率が鈍化しながらも、消費がまだ続いている様子が見られました。
そして、ビザの決算からは景気後退が差し迫った緊迫感は感じませんでした。
この記事のポイント
- ビザの2022年10-12月期の業績は安定してアナリスト予想を上回った。
- しかし、成長率は2022年を通じて鈍化した。今はコロナ前のペース(10%前後)に戻ったように見える。
- 消費者にはまだクレジットカードを使う余力があるように見えるので、今後のビザは景気後退まではコロナ前のような10%前後の成長率に戻りそう。
ちなみに、同じ日に決算を発表したインテルは大きくつまづいているようなので、インテルのほうがニュースになっているようですが、要するに今はPC需要が極端に減っているということなのだと思います。
PCの不調はマイクロソフトの決算でのWindowsの売上低下にも現れていたので、想像に難くないです。
ビザを見る限り消費に直結する企業の決算はまだなんとか持ちこたえているものの、PCや半導体やソフトウェアなどコロナで特需があった一部の企業は大きな低迷期に入っているという印象を受けます。
成長の鈍化が見られるも予想超えの決算
2023年度第1四半期(10-12月期)の数字は、一株利益も収益もともに予想を上回る結果に落ち着きました。
- 一株利益:$2.18(予想:$2.01)
- 収益:$7.94B(予想:$7.70B)
ビザの決算はほとんど予想を下回らないので、通常通りだったと言えます。
ただし、順風満帆というわけでもなさそうです。
この数四半期で売上の推移を見てみると、やはり成長率はかなり鈍化してきています。
消費の強さが失われたわけではない
Visaの決済システムの使われ方を示す次のグラフを見ても、カード利用金額(下図の黄色線)が前年比7%にまで成長が減速しているのは少し気がかりではあります。
ただ、私は前年比7%あるならば、「景気悪化が近い」というよりも「コロナ前の水準に近い」と表現できる範囲だと思います。
次のグラフは新型コロナウイルスが流行する前のデータを決算資料から拾ってきたものですが、コロナ流行前のカード利用金額の伸びは概ね8%〜11%で、仮に7%の数字がここに並んでいてもおかしくはありません。
もう一つ、消費が粘り強さを見せそうな証拠としては1月にカード利用金額が増えていることです。
また消費者にはクレジットカードを使う余力がいくらか残っているので、まだしばらくは消費は持ちこたえそうな気がしています。
つまり、まとめるとビザはたしかに成長率に鈍化が見られますが、コロナ前の水準に戻りつつあると言えます。
そして、消費者にはまだクレジットカードを使う余力があることを踏まえると景気後退までにはまだ時間があり、その間のビザはコロナ前のような10%前後の成長を維持できそうだと言えます。