少し遅くなりましたが、4月末に発表されたビザの1-3月期決算について触れたいと思います。
最近は市場の動きだけでなく、重要な経済指標の発表やFOMCなどもあってなかなかビザの決算について書くことができなかったのですが、改めてみて見ると結果は良かったと思います。
既にお伝えしているように1-3月期のアメリカは景気は良くなかったのですが(参考記事)、ビザの決算を見ていると消費が伸びていない時期の業績には見えませんでした。
この記事のポイント
- ビザの2022年1-3月期の決算は予想を上回る良い結果だった。
- eコマースでの消費はパンデミックが落ちついても続くトレンドだとして、ビザは今後の業績も自信をのぞかせている。
- 今後1年くらいで景気後退になるならビザ株はまだ買いではないが、景気後退後にチャンスがあるはず。
予想を上回る業績を残したビザ
まず、ビザの1-3月期の業績を確認してきます。
一株利益も売上も軽く予想を上回る良い内容だったと思います。
- 一株利益:$1.79(予想:$1.65)
- 売上:$7.19B(予想:6.83B)
最近のビザの決算はかなり安定して、予想を上回る業績を出し続けています。
一株利益も売上も予想超えの決算はこれで7期連続にまで伸ばしました。
今回の業績は前年比の成長率もかなり高い数字が並んでいます。前年の2021年1-3月期がマイナス成長で低迷していたこともあって、今期のビザの売上成長率はGAFAMのどの企業よりも高かったです。
単位B:10億ドル | 2Q22 | 前年比 |
---|---|---|
売上 | $7.2B | +25% |
営業利益 | $4.8B | +34% |
調整後一株利益 | $1.79 | +30% |
ただし、これほど成長率が高いのも今回くらいまでかも知れません。
今回の決算は前年がマイナス2%成長で低迷していたのに対して、次の4-6月期の前年はプラス25%で売上が伸びていたので、高い前年の業績に阻まれて成長率はやや鈍化すると思われます。
同じことは営業利益にも言えそうです。
営業利益は今期も順調すぎるくらいの高い成長が続きました。しかし、次回の4-6月期決算では少し苦戦するかも知れません。
好調の要因は国際間決済
最近のビザの業績の好調さは、国際間決済(国をまたがる決済)の回復にあるようです。
この回復の背景にあるのは、脱コロナの流れです。
国際間決済は2020年の新型コロナウイルスの流行から旅行や出張が減って急減していましたが、今は回復期が訪れて最近は高い成長率が続いています。
強気な発言が見られるビザ
2022年は物価の高騰や金利の上昇で消費が減速する心配があったり、世界的な景気拡大の減速に見舞われていますが、ビザの決算発表では強気な発言がいくつも見られました。
高インフレ、サプライチェーンの混乱、金利の上昇、ウクライナの侵略によって生じる不確実性はありますが、ビザの世界での決済金額に影響を与えている様子は見られません。eコマースの支払いはまだ非常に強く、2019年に比べてコロナ以前のトレンドラインを大きく上回って安定しています。パンデミックの影響が薄れたとしても、このeコマースの好調は続くと想定しています。。
意外だと思ったのは、eコマース(ネットショッピングなど)に関する考えの箇所です。
アマゾンの決算だったり、ネットフリックスの決算を見ているとコロナ流行初期に好調だったビジネスは既に業績に陰りが見られます。
>>ネットショッピング離れが鮮明になったアマゾン決算【22年1-3月期】
>>ネットフリックス、10年間で初めての会員数減少で株価急落【22年1-3月期決算】
しかし、新型コロナ流行後に見られたレストランチェーン店による出前サービスの強化や、ナイキなどの小売がネットでの販売を強化したような動きまで含めて考えると、ネット上の決済金額全体はコロナの流行が落ち着いても安定して推移しているということのようです。
消費者はコロナが落ち着いてから街を出歩く時間が増え、暇つぶしの娯楽としてのネットフリックスは解約しているのかも知れませんが、以前よりもネットで支払うことに抵抗がなくなったり、ネットで買い物をする動きが社会に定着したのかも知れません。
この流れが長期的に続くなら、ビザにとっては良い流れです。
今はビザにとって一番やっかいなアメリカの景気後退を前にしている状況なので(遅くとも2023年には景気後退になると私は思っているので)この銘柄はまだ買いませんが、次に景気後退が起こって消費が大きく落ち込んだ後は買いのチャンスが訪れると思います。
景気さえ回復期に入ればビザの売上のベースになる決済金額は物価とともに上昇するので、景気後退後に再びインフレがアメリカを襲ってもある程度は耐えることができるはずです。