先日、ビザ(シンボル:V)の決算資料からアメリカの消費拡大が3月末にピークを迎えた可能性について記事を書きました。
>>アメリカの消費拡大のピークは既に3月末に過ぎた恐れがあります。
しかし、2021年1-3月期のVisaの業績についてはまだ記事にしていなかったので、少し短めにはなりますがこの記事でさらっと触れておきたいと思います。
この記事のポイント
- 今期のビザは売上・利益ともに予想を上回る好決算だった。コロナの低迷から引き続き回復している姿が見られた。
- 3月後半から4月にかけて米国では決済金額が大きく伸びた。しかし、週別に見ると3月末で既に消費拡大はピークをつけた可能性がある。
- ビザは高収益体質で良い企業だが、やや割高なのは気になる。5年以上長期保有するなら買っても良い銘柄だが、数年で売るようなら買い時はまだ来ていない。
コロナの低迷から回復が続くビザ
1-3月期(2021年第2四半期)のビザの業績は良かったです。
前期から引き続きコロナで受けたダメージから回復している傾向が続いて、売上も一株利益も予想を上回る結果を残しました。
- 売上:予想55.6億ドルに対して、57億ドル(予想超え、前年比-2.6%)
- 一株利益:予想1.27ドルに対して、1.38ドル(予想超え)
単位:10億ドル | 2Q21 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $5.7B | -2% |
営業利益 | $3.8B | -5% |
調整後一株利益 | $1.38 | -1% |
2020年はビザにしては珍しくアナリストの予想を下回る決算が何回か見られましたが、今期はちゃんと予想超えをしたようです。
売上や一株利益はいまだに前年比マイナス成長の状態が続いていますが、決算毎に業績は順調に回復しています。
ビザ本来の安定して成長する姿にはまだ遠いですが、大きく低迷した2020年半ばの状態は完全に脱した模様です。
ビザCEOも決算資料で、「終わりの始まりが見えた」と発言していたのは良い兆候です。
新型コロナウイルスの流行は昨年(2020年)世界をひっくり返しましたが、私達にはその終わりの始まりが見え始め、世界中の多くの主要な市場で回復が順調に進むと信じています。(ビザCEO)
懸念はアメリカの消費回復が既にピークをつけたかどうか
先日の記事でも書きましたが、この決算で私が一番気になったのは米国でのビザの決済金額の急成長です。
世界ではこれから景気の回復が始まりますが、ワクチン接種が進んでいるアメリカでは既に3-4月でかなり強い景気回復が始まっています。
また、週別にアメリカの決済金額の成長率(前年比)を追いかけると3月末をピークに成長率が鈍化しています。
アメリカではコロナからの回復による消費拡大が既にピークをつけたかもしれない点には、注意が必要です。
まとめ
この記事では、ビザの1-3月の業績を振り返っていきました。
コロナからの業績回復が続いているようで、アナリスト予想を上回る決算を出したのは良かったと思います。
しかし、ビザが使われている主要な市場のアメリカで3月末に消費回復のピークをつけた可能性があるおと、それにも関わらずビザはやや割高な株価をつけてることを考えると、今この銘柄を積極的に買わなくて良い気がしています。
ビザの株を買っても問題ないのは、長期投資家の場合です。ビザは長期的に成長できる優良銘柄だと思っているので、5年や10年以上も保有するような長期投資家なら今買っても問題ないと思います。