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ビザ、業績の回復がはっきりと見えた好決算【20年10-12月期決算】

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クレジットカードで有名な決済サービス企業のビザの2020年10-12月期(21年度第1四半期)決算が発表されたので、この記事で振り返っておきたいと思います。

内容はかなり良かったです。

この企業は2020年の新型コロナウイルスの影響で業績が落ち込んでいましたが、10-12月期は業績がかなり回復していました。

この記事のポイント

  • 2020年10-12月期の決算は売上・一株利益ともに予想を超える好決算だった。
  • 前回の決算までは売上も一株利益も前年比マイナス20%前後で大きく業績が落ち込んでいたが、今期は売上は前年比マイナス6%、一株利益はマイナス3%で業績の大きな回復が見られた。
  • ビザの業績を引っ張っている(海外旅行などの支出を含む)国際決済の回復にはまだ時間がかかる点には注意。また株価も割安ではないので、今投資してもそれほど旨味はない。

ただ、今ビザの業績の足を引っ張っているのが(海外旅行時のカード利用など)国際決済サービスからの収益で、この業績が本格的に回復するにはかなり時間がかかる見通しです。

また業績が低迷していた割に、ビザの株価はそれほど安くなっていないので、今ビザに投資してもそれほど旨味はないのかなと思っています。

私はビザのような安定して成長する企業はかなり気に入っているので、何かの理由で安くなることがあるまで買うのを待ちたいと思っています。

(2020年3月のコロナでの株価急落で、この株を買わなかったのはちょっと失敗だったかも知れません。)

業績の回復が見られた2020年10-12月

2020年10-12月のビザは予想を超えて業績が回復し、好決算になりました。

  • 売上:570億ドルで、予想を1.8億ドル上回る(前年比マイナス6%)
  • 一株利益:1.42ドルで予想を0.14ドル上回る(前年比マイナス3%)

世の中の景気が悪くても、ちゃんと予想を超える決算を出してくるところは、さすがだと思います。

この企業の決算は何か大きなことが無い限り、ほとんど決算で売上も一株利益も予想を超えてきます。

前年に比べると売上も利益もまだマイナス成長ですが、それでもマイナス幅はかなり改善されました。

前回や前々回の決算では、売上も利益も前年に比べてマイナス20%前後で大きく停滞しましたが、今回は売上がマイナス6%、一株利益はマイナス3%まで回復しています。

国際決済サービスの売上はまだ大きく低迷

ただし、ビザが発表している数字を確認すると、海外旅行や海外出張などの国境を超えた決済(国際決済)はまだ低迷しています。

新型コロナウイルスを克服して人々が安心して海外旅行や出張に行くようにならないと、本格的には回復しません。この回復にはまだ時間がかかると思われます。

2020年4月から増えているネットでの消費

ちなみに今回の決算で面白いデータがあったので、紹介しておきます。

以下は2020年からのアメリカでのVisaの決済金額の成長率を示したものですが、ネット決済などの金額を表す黄色のグラフ(Card not Present excuding travel)は20年3月から21年1月まで前年比30%でかなりの高成長が続いていたことがわかります。


出典:visa

2020年3月にアメリカで新型コロナウイルスの流行が見られてから、消費が実店舗からネットに移り、アマゾン(AMZN)、ショッピファイ(SHOP)、パイパル(PYPL)、スクウェア(SQ)などの企業はこの恩恵を受けてきました。

上のグラフを見る限り、21年1月までネット決済金額は好調をキープしているので、これらの企業の決算は恐らく1-3月まで高い成長率を維持すると思います。

問題は21年4月以降で、そこからネット決済金額が急上昇した20年4月以降が前年になるので、この1年で見られたような高い前年比成長率を維持するのは難しくなるはずです。

まとめ


この記事ではビザの2020年10-12月期の決算を振り返りました。

売上・利益ともに業績は大きく回復して、成長率のマイナス幅を大きく改善することができた好決算になりました。

ただし、今足を引っ張っているのが国際決済金額だという点を考えると、この企業の業績の本格回復には世界規模のコロナの収束が必要で、まだ時間がかかりそうです。

また、ビザはまだ業績が完全には回復していないのに、そこそこ株が買われていて割安な状態ではないのも少し気になります。

ビザは打ち出の小槌のように、高い利益で毎年稼いでくれる企業で、毎年のように利益(フリーキャッシュフロー)を増やす良い企業だと思っているのですが、今は安く買える時期が来るのを楽しみに待ちたいと思います。


参考記事:
個別株投資で重要なことの1つとして「毎年のようにフリーキャッシュフローを増やす企業を選ぶこと」を取り上げた記事


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