Visaの2020年4-6月期(20年3Q)の決算は、あまり良くなかったです。収益は前年比マイナス17%で落ち込み、アナリストの予想も下回る結果でした。
ただし、Visaは既に最悪期を脱した可能性があり、これから買っても良い企業だと思います。
Visaはアメリカでの収益の割合が大きい企業ですが、アメリカの決済金額は6月中旬から前年比プラスで推移しています。7月中旬から下旬でやや回復の勢いは衰えましたが、それでも7月の決済金額は一桁後半の前年比プラス成長を維持しているようです。
アメリカでは実店舗での消費がゆっくりと戻っていることに加えて、ネット決済やネットショッピング経由でVisaを使っている様子が見られます。
この記事のポイント
- 4-6月期のVisaは収益マイナス17%、一株利益マイナス23%で大きくて低迷した。利益は予想に届かなかった。
- ただし、Visaの稼ぎ頭のアメリカでは、決済金額は6月中旬から前年比でプラスに推移している。
- 7月のアメリカでのカードの決済総額は中旬から下旬にかけてやや勢いが弱まったが、前年比で一桁台のプラス成長を遂げている。
2020年4-6月決算
Visaの業績はいつもは安定しているのですが、今期ばかりは一株利益はマイナス23%、収益はマイナス17%と大きく落ち込みました。
- 調整後一株利益:1.06ドルで、予想を0.02ドル上回る(前年比マイナス23%)。
- 収益:48.4億ドルで、予想を0.1億ドル下回る(前年比マイナス17.1%)
単位:10億ドル | 3Q20 | 前年比 |
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収益 | 5.9 | -17% |
営業利益 | 3.1 | -23% |
純利益 | 2.3 | -23% |
調整後一株利益 | 1.06 | -23% |
上の表を見ても、前年比マイナス20%の業績が並んでいるので低迷していたことがわかりますが、グラフにすると一目瞭然です。
アメリカでの消費は回復傾向
今回のVisaの決算で一番大きな発表は、アメリカでの決済金額が6月中旬から前年比プラス成長に戻ってきたことです。
以下は、決算発表資料で紹介されていたアメリカでの決済金額の週毎の推移ですが、6月中旬から合計金額(青線)はプラスに転じています。
※出典:Visa
他の色の線も見てみると、ネットショッピングなどでの消費が含まれる「旅行を除くカード提示なし(黄色線)」は4月からずっと前年比+30%前後で好調をキープしています。
それに加えて、6月後半から「カード提示あり(オレンジ)」がマイナス10%程度まで緩やかに回復してきたことで、アメリカ全体として決済金額はプラス成長に変わったようです。
また、上のグラフで7月以降の金額の伸びを見ていると、ネット消費を中心に中旬から下旬にかけて勢いがやや弱まったものの、それでも全体として一桁後半の前年比プラス成長を維持できていることは良いニュースです。
アメリカでのVisaの決済金額から見えること
- アメリカの消費は回復傾向にある。7月上旬でやや勢いは弱まったものの、回復の傾向に大きな変化はない。
- アメリカでの決済金額が大きく影響するVisaは、既に最悪期を脱した可能性がある。今後、購入候補にしても良い銘柄。
- ネットショッピングでの決済金額は、4月以降から前年比プラス30%で高水準をキープしているがすでに頭打ち。今後の投資はアマゾンのようなネット消費銘柄ではなく、店舗での対面販売などコロナで影響を受けた企業の株で、業績の回復を長く待つのも手。
Visa最悪期をすぎた可能性
もちろん、Visaのアメリカでの決済金額が前年比でプラスになったからといって、すぐにコロナ前の業績には戻りません。アメリカ以外の国では消費がまだ低迷している上に、国をまたがる決済は7月に入っても前年比マイナス30%と大きく落ち込んでいます。
Visaの収益源毎の状況
- サービス収益:決済金額に応じてVisaに入ってくる収益。この収益の半分を占めるアメリカでは、6月中旬以降プラス成長。
- データ処理収入:Visaの決済ネットワークの利用回数に応じて得られる収益。アメリカでは、7月にゼロ成長まで回復。
- 国をまたがる決済収入:国際間決済で得られる収益。7月に入っても、マイナス30%と大きく低迷。
ただし、Visaのメインの収益源のアメリカで消費が回復していること、世界も少しずつ経済を再開させていることを考えると、最悪期は過ぎた可能性があります。
コロナ前の業績に回復するには時間がかかるかもしれませんが、Visaは購入候補として考えて良い時期に来ていると思います。