8月23日ワイオミング州ジャクソンホールのシンポジウムでFRBパウエル議長の講演が行われました。
この講演が注目をされる理由はなんと言っても、来月9月にアメリカは政策金利を引き下げるのかどうか、そのヒントになるような発言がパウエル議長の口から飛び出すのかです。
一般的には、政策金利を引き下げれば企業も消費者も借金の負担が軽くなり、景気にプラスに働きます。たくさんの難局を迎えている世界の投資家や企業はすがるような思いで、講演に耳を澄ましていたことだと思います。
明言は避けつつ、小幅な利下げの可能性をにじませたパウエル議長
注目が集まったパウエル議長の発言ですが、9月の政策金利に対して明言はなかったものの、「適切に対応する」と発言したことで、株式市場は利下げに一歩前進したとみたようです。
このパウエル議長の報道の直後は株価は緩やかに上っていました。
この後、トランプ大統領が中国の追加関税に報復をする宣言が飛び出して、市場は大荒れになるわけですが、パウエル議長の発言自体は、市場は歓迎とは言わないまでも、安堵したと受け取ったようです。
「適切に対応する」という言葉は、2019年6月にそれまで利下げは一切不要だと考えていたFRBが、その方針を変えて利下げの検討を始めた時に使った言葉なので、市場にとって聞き心地が悪い言葉ではなかったはずです。
FRBパウエル議長「米中央銀行は経済拡大のために適切に対処する」
今の世界情勢は前例になる見本がない
個人的にこの講演で気になったのは、パウエル議長が今何を問題視しているかです。というのも、今年のシンポジウムの講演テーマは「金融政策への課題」と設定されていたからです。
パウエル議長が「新たな課題」だという表現したのは、貿易への対応についてでした。
基本的には、貿易協議は政府と議会が解決に向けて動くべき問題です。
ただ、貿易協議がこじれて関税の引き上げなどが発生した場合には、FRBが適切な水準にコントロールしようしている雇用や物価に影響が出てしまいます。
そうなればFRBは、雇用と物価の安定のために何か手を打たなければいけませんが、いくら金融政策を強化しても根本的な解決にはならない課題に今直面していると言います。
それはそうでしょうね、根本原因が貿易協議のこじれにあるなら、それを解決できるのは政府であって中央銀行ではないです。
パウエル議長は気が優しいのか、はっきりと言いませんでしたが「貿易が原因の景気減速はFRBには根本解決はできない。トランプ政権こそが、この問題を早期に対処すべき」と案に示しているようでもありました。