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アメリカの失業率と景気後退の関係

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今月の上旬に発表されたアメリカ雇用統計では、予想外に失業率が上昇している様子が見られました。

それでもまだ、アメリカの景気後退は差し迫ってはいなく、感覚的には半年くらい時間がかかるのではないかと当時の私は考えていました。

>>雇用の弱まりを感じる2月のアメリカ雇用統計

その後あれこれと調べていたのですが、半年も待たずに景気後退になる可能性もなくはないと思えてきたので、少し共有します。

この記事のポイント

  • アメリカの失業率は12ヶ月移動平均を上回り続けるような上昇トレンドに入ると、まもなく景気後退になる。
  • 2024年の失業率はすでに12ヶ月移動平均を7ヶ月間上回っており、過去データ通りなら間もなく景気後退になっても不思議ではない。

失業率の上昇トレンドと失業率

過去のアメリカが景気後退の時期では、かならず失業率の上昇が見られます。

そして失業率は一度本格的に上昇すると、なかなか低下せずに上昇トレンドがしばらく続くという傾向があります。

この上昇トレンドを見分け方に12ヶ月の移動平均を使うという方法があります。

例えば、下の図では世界金融危機前からのアメリカの失業率(青線)を示していますが、景気後退とは無縁の時期ではアメリカの失業率は12ヶ月移動平均(白線)をほとんど上回ることがありません。(あっても一時的です)

そして、一度12ヶ月移動平均を上回り出すと、それから先はほとんどの月で移動平均を上回るようになって景気後退に突入します。

詳細は省きますが、同じような傾向は2000年の景気後退でも、1990年の景気後退でも見られました。

そして、失業率が移動平均を上回り始めると数ヶ月から3四半期ほどで景気後退に陥っているようです。

景気後退時期 失業率が移動平均を超えてから景気後退時期まで
1990年 2ヶ月目
2001年 4ヶ月目
2007年 8ヶ月目
2020年 1ヶ月目

2024年の状況

さて、次に2024年の現状を確認してみます。

次のグラフを見るとアメリカの失業率(青線)はすでに安定して12ヶ月移動平均(白線)を超えて、上昇トレンドに入っていることが確認できます。

そして、2024年2月の時点で移動平均を最後に超えてからすでに7ヶ月が経っています。

今回は失業率上昇のペースが緩やかなので、まだ景気後退時期とはなっていませんが、過去の例ではそろそろアメリカは景気後退に入ってもおかしくない時期です。

これを調べる前は、アメリカの景気後退はまだしばらく先だろうと思っていたのですが、あまり悠長に構えていると足元を救われるかもしれません。

株価はまだ調子を崩していませんが、それほど楽観しないほうが良さそうです。


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