少し内容が薄いのですが、アメリカのレイオフ(一時解雇)について書いた下の記事の続きを書きたいと思います。
>>大手ハイテクはレイオフしても、アメリカ全体では失業者はまだ増えていない
11月には大手ハイテク企業が次々にレイオフをして人員を減らしました。しかし、その流れはハイテク業界だけに留まっていたというのが11月時点の動きでした。
この流れがハイテク業界以外にも波及しているのか12月の動きを注目していたのですが、12月にレイオフが進んだような形跡は見られませんでした。
この記事のポイント
- 11月は大手ハイテクのレイオフが盛んだったが、12月に入ると下火になった。
- アメリカの新規失業保険申請件数を見ても、大きな増加は見られない。レイオフの動きが広がっているようには見えない。
- 雇用が冷えない限り、今回のFRBの引き締めは終わらない。強い雇用は今に限っては、投資家には悪材料。
11月のレイオフの波は一段落
11月にはアマゾン、メタ、ツイッターなど大手のハイテク企業がレイオフを発表して連日ニュースになっていました。
しかし、12月になるとハイテク業界のレイオフ熱も少し和らいだようです。
上のグラフは12月27日時点までのデータですが、11月に急増が見られたテクノロジー業界のレイオフは12月は下火になりました。
失業者数も急増せず
結局2022年は年末になっても、アメリカの雇用に目立った弱まりは見られませんでした。
次のグラフは2022年の新規失業保険申請件数の推移ですが、FRBがあれだけ利上げをして企業の景況感はすでに下がっているにも関わらず、グラフは右肩上がりにはなっていません。目立った失業者の増加は見られなかったようです。
失業保険の新規申請の件数を見ても4週平均で20万件前後で、決して多くありません。世界金融危機の前は毎週30万件くらいで推移していたことと比べても、今の失業者は少ないです。
まだアメリカの雇用は強いと言えそうです。
雇用はいつ弱まるか
先程からアメリカの雇用が強いことを残念そうに言っていますが、これは私が景気後退を望んでいるからではありません。
もしも、(可能性はあまり高くないと思いますが)アメリカ経済がソフトランディングをするなら早めに緩やかに失業率が上がったほうがいいと思っています。
FRBはインフレの長期化を恐れていて、40年前にインフレの長期化の要因になった賃金上昇の高止まりをどうにか食い止めたいと考えています。
FRBとしてはしっかりとした規模で利上げをしたはずなのに雇用が十分に弱まっていないことがわかると、2023年にさらに小幅ながらズルズルと利上げをしなければならなくなります。
これは2023年序盤の利上げ停止や後半の利下げを予想している市場の投資家たちにとって嬉しくない展開です。そうなれば株も債券も再び売られる上に、これ以上に引き上げられた金利がアメリカに長く深い景気後退を招いてしまう恐れもあります。
2023年の焦点は雇用がいつ弱まるのかがかなり重要になりそうです。それにより利上げ停止の検討や、利下げ開始の検討の余地も生まれるはずです。