最近、ニュースを見ているとレイオフ(layoff:一時解雇)という単語をよく見かけるようになりました。
11月からのレイオフは主に大手のハイテク企業が中心で、他の業界はそれほど多くない印象なので、この一連のレイオフが強すぎると言われているアメリカの雇用をどれだけ冷やすことができるかわかりませんが、11月以降の雇用データには注意を払いたいと思います。
この記事のポイント
- 11月からアメリカの大手ハイテク企業を中心にレイオフの流れが加速している。
- 11月1日から15日までの半月で、すでに2022年のどの月よりもテクノロジー企業のレイオフ数は多くなっている。
- 11月からアメリカの雇用のデータの過熱が収まり始めるのかは、今後の注目ポイント
11月から増えるテクノロジー企業のレイオフ
11月になって、ハイテク企業のレイオフのニュースをたびたび耳にするようになりました。
ためしにGoogle Trendsでアメリカで”layoff”の検索ワードを調べてみると、10月後半から急上昇しているのが確認できます。
2020年3月のコロナショック時にはまだ遠く及びませんが、人々のレイオフへの関心は高まっているようです。
そして、10月頃から始まっている今回のレイオフは、大手ハイテク企業を中心に人員削減が行われているようです。特に10月に発表した決算で業績の低迷が明らかになった企業では、人員削減が活発化している印象を受けます。
>>アマゾン、約1万人を今週にもレイオフの計画-報道(ブルームバーグ)
>>Meta、社員1万1000人解雇を正式発表(ITmedia)
実際にテクノロジー業界でどれくらいの数の人がレイオフをされているのかを見てみると、11月はまだ半月しか経っていませんが、すでに2022年のどの月よりもレイオフが多くなっています。
気がかりなのはその増加ペースです。
以下は、アメリカのテクノロジー企業のレイオフの数を四半期ごとにまとめたものですが、(テクノロジー企業に限れば)2020年のコロナ時に迫る勢いでレイオフが増加しています。
上の図の見方では1点注意することがあります。
直近の2022年第4四半期は10月1日から11月15日までの1.5ヶ月しか集計されていません。第4四半期はあと1.5ヶ月残っているので、このペースで行くと2022年第4四半期の数字は年末に2倍になる恐れもあります。
もしも、本当に2倍になれば(テクノロジー企業に限れば)コロナ時のレイオフ数を超えることになります。
アメリカ経済への影響
ここまでで11月に入って、テクノロジー企業の人員削減が進んでいることを書いてきました。
今のところレイオフを発表している企業はハイテク企業に偏っている印象があるので、これで11月以降にアメリカの雇用が一気に冷え込むと言うのは行き過ぎた考え方だと思います。
しかし、11月以降にアメリカの雇用データがどれくらい過熱が収まるかは注目して見る価値はあります。アメリカのインフレはあと雇用さえ過熱が収まれば、収束への希望が見えるからです。
反対に、ハイテク業界のレイオフが他の業界に飛び火するようなら、投資家の関心はインフレから景気後退に移っていくことになると思います。
そして、以前に次の記事でも書いたように今回の景気サイクルでは失業率4.0%を超えれば、アメリカは景気後退に入ったと言って良さそうです。