今年は年初は私も「米国株はまだ上昇する」と強気の姿勢をとっていたのですが、数ヶ月して弱気に転じました。
2022年はFRBの金融政策が株価の下落に強く影響しているように見えるので、FRBがインフレを抑えるために景気を抑圧する金融政策をとっている限りは、まだまだ弱気のままで良さそうだと思ってます。
この記事のポイント
- 「FRBに逆らってはいけない」という格言通り、2022年はFRBの金融引き締めで株価が軟調になっている。
- ミネアポリス連銀総裁はジャクソンホールの株価下落を好感している。
- FRBは景気抑制的な金利の維持を目指しているので、米経済は低成長が続く。今のFRBのスタンスが続く限り、大きな株価上昇は望めない。
FRBの金融引き締めと低迷する2022年の株価
「FRBに逆らってはいけない」という言葉があります。
FRBが景気を冷やそうとしているときに株価が上がることに賭けてはいけない、その反対にFRBが景気を力強く支えている時に株下がることに賭けてはいけないという意味です。
今年はこの言葉がきれいに当てはまっているようです。
2022年はFRBがインフレを抑えるために景気の冷やす金利引下げをしていますが、下のグラフのように株価は長いこと低迷しています。
株価下落を歓迎するFRB
そして興味深いのは、FRBのメンバーも株価が下がることを良しと考えている節があることです。
次のブルームバーグの記事では、ミネアポリス連銀総裁が先週のジャクソンホール後の株価の下落について次のようにコメントしています。
>>ジャクソンホール後の市場の反応に「満足」-ミネアポリス連銀総裁(ブルームバーグ)
パウエル議長のジャクソンホール講演の受け止められ方(米国株が大きく下落したこと)を見てうれしく思う。インフレ率を2%まで押し下げるというわれわれの決意の真剣さが理解された。
もちろん株価を下げることがFRBの狙いではないですが、FRBは金融政策の意図が市場の投資家にどのように伝わっているかを株価の反応で確かめていることがわかります。
そして、今は景気を下げる効果がある金融政策を打ち出しているので、今のFRBは株価を下げることが目的ではないにしても、FRBの金融政策引き締めの意図が伝わって結果として株価が下がることを期待しているように見えます。
一方で、金融政策が投資家に理解されて株価が下がることを期待していたのに、うまくいかなかったのが前回の7月の金融政策決定会合(FOMC)です。
前回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の株価上昇については素直に喜べなかった。インフレを引き下げるわれわれの決意の固さを認識し、市場はそれについて思い違いをしていると思っていたからだ。
このように意図せず株価が上昇した場合には、その後に簡潔でよりはっきりと金融引き締めの意図を伝えなければならなくなります。その結果が、先日のジャクソンホールでのパウエル議長の講演で、その後の株価下落につながったように見えます。
こうしてみてみると、とてもシンプルな説が出てきます。
FRBが景気を冷やそうとしている今年は、FRBに逆らって株が上がることを期待してはいけないというものです。株価は一時的に上昇することはあるかも知れませんが、FRBは次の発言機会でより強力なメッセージで金融引き締めを示唆して、結果的に格言通りに株価は下がる展開になってしまいそうです。