週末で時間もあったので、株価のグラフをいじっていました。
あれこれいじった結果、アメリカが景気後退になるにはまだかなり時間がかかる可能性が見えてきました。少なくとも株式市場はアメリカの景気後退がまだ来ないと見ているようです。
この記事のポイント
- アメリカの景気後退前には「生活必需」「ヘルスケア」「公益」の3つのセクターのパフォーマンスがS&P500に対して良くなる。
- しかし、現時点ではこれら3つのセクターのパフォーマンスは改善していない。
- 市場はアメリカの景気後退はまだまだしばらく来ないと思っている模様。
景気後退前に相対的に株価をあげるセクター
このブログでも何回か取り上げたことがあるのですが、アメリカは景気のサイクルによって株価が上がりやすい業界が異なります。
たとえば、上の図の一番右柄を見てみるとリセッション(景気後退期)には「生活必需品」「ヘルスケア」「公益」の3つのセクターが相対的に強くなっていることがわかります。
実際に各セクターETFの株価をS&P500で割った値をグラフで見てみましょう。
このグラフは上に行くほど、S&P500(株式全体)に比べて相対的にパフォーマンスがいい(下落した場合でも下落率が小さい)ことを示します。
たしかに、「生活必需品」「ヘルスケア」「公益」の3つのセクターはすべてS&P500に対して景気後退前後で相対的に株価が上がっていることがわかります。
ただ、3つのグラフはわずかに違いが見られます。
多くの場合で、景気後退前に相対的な株価の上昇が起こっているのですが、ヘルスケアセクターの株価は景気後退が始まってからグラフが上昇したりしています。また、公益セクターは景気後退より何年も早く価格の上昇が起こっていることもあります。
細かい違いですが、もしも景気後退が近づいていることのシグナルとして使うなら、「生活必需セクターETF÷S&P500」のグラフが一番使いやすいのかなと思います。
景気後退にはまだまだ時間がかかるか
ところで、「生活必需セクターETF÷S&P500」が上昇に転じてアメリカの景気後退が始まるまでにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
ざっと調べてみると、だいたい半年から1年ほどかかっていることがわかります。(2020年のコロナ不況は景気サイクルとは違う気がしたので、グラフから除いています)
あわせて、現時点で「生活必需セクターETF÷S&P500」はどうなっているかというと、まったく反転していません。
そろそろこのトレンドが反転しないと、2024年の景気後退は難しそうです。少なくとも株式市場はアメリカの景気後退までまだ時間がかかると考えているようです。