4月1週目が終わりました。この週に発表されたアメリカの3月の経済指標は、失業率など多くのデータで悪化していました。
ただ、この週のアメリカ株は悪化した経済データが材料になって売られることは、ほとんどありませんでした。本当はもう少し市場が動揺して、株価が乱高下すると思ったのですが、想定していた展開とは少し違いました。
大きな下落が来ると思って待ち構えていた私のような人には期待はずれでしたが、結果的に購入銘柄をもう一度精査できる時間が生まれたことは良い知らせです。
特に、市場が休みになる土日は貴重な時間です。
今週発表されたアメリカ経済データの結果をまとめておき、少しばかり購入銘柄の検討の材料も書いておきたいと思います。
この記事のポイント
- 4月1週目に発表された経済データはかなり数字が悪かった。特に失業率は大幅な悪化を見せた。
- 荒れた展開になるかと想像していたが、それほど大きく市場は変動しなかった。2月末から3月中旬までに見られた、あらゆる資産を売って現金化する動きが最近は収まったように見える。
- 株価変動が小さくなって、購入銘柄を検討する時間ができた。今は購入銘柄を点検するチャンスかも知れない。
多くの指標が悪化した3月のアメリカ経済
この1週間で、アメリカの3月の経済指標が続々と発表されました。いずれも前月よりも顕著な悪化をしています。
悪化したアメリカ経済
経済指標 | 説明 | 結果 |
---|---|---|
ISM製造業指数 | 米製造業が感じる景気 | 49.1 3ヶ月ぶり低水準 |
ADP雇用統計 | 民間集計の雇用統計 | -2.7万人 10年ぶり低水準 |
新規失業保険数 | 直近1週間の新規失業者数 | 665万人 歴代最悪 |
ISM非製造業指数 | 米非製造業が感じる景気 | 52.5 6年ぶり低水準 |
雇用統計 | 政府集計の雇用統計 | 4.4% 3年ぶり低水準 |
特に、著しい悪化を見せたのは新規失業保険の申請数です。歴代最悪の1週間で665万件を記録するなど、大きく低迷しました。
経済データに反応しなかった株式市場
ただし、アメリカの景気が悪化しているデータが次々公表されても、株価はそんなに大きく反応しませんでした。
大きく反応するどころか、記録的な失業保険の申請者数が発表された4/3は株価は上昇するなど、今は市場は経済データに特に関心を寄せていないようにも見えます。
この日株価が反応したのは、ロシアとサウジアラビアと対談したトランプ大統領が石油減産に期待を寄せているというツイートで、石油業界を苦しめている原油安に歯止めがかかるかもしれないという期待からでした。
詳細はこちら:【参考記事】判断の難しい相場。失業者が急上昇でも、株価は上昇。
落ち着きを取り戻したようにみえるアメリカ株
この1週間で見られた変化をもう一つだけ触れておきます。
最近、株価の値動きが小さくなったなと感じます。実際に、約1ヶ月間の毎日の変動率を調べてみると、この1周間は以前よりも株価の変動は収まりつつあります。
2月下旬から3月半ばにかけて見られた「あらゆる資産を売却して、現金にする動き」は、ひとまず収まったのだと思います。これは正常な市場に戻りつつある、とても良い兆候です。
FRBの資産
現金化する動きをひとまず抑え込めたのは、FRBの功績が大きいと思います。
ただ、その代償として国債などの資産を大量に市場から買い取ったFRBの資産は、3月から前例のない規模で急激に膨れ上がりました。
FRBの資産額が膨れ上がるとどんな問題が起こるかは、まだはっきりとはわかりません。しかし、FRB資産額と金(ゴールド)の価格が比較的近い動きをしていることは有名です。
世界的に中央銀行の資産が膨れているので、ドル安になっている実感があまりありませんが、既にこの10年間でゴールドが上がっていることから考えると、今後も通貨安・ゴールド高は進むのかも知れません。
購入銘柄の点検
長期的にはドル安の影響が出てくるのかも知れませんが、短期的にはFRBのおかげで市場の混乱が(一時的であったとしても)抑えられたことは、かなり朗報です。
価格が急落する中で売買を判断をするのは難しいですが、ゆっくりと株が下落してくれるなら、こちらとしてもじっくり考えることができます。
これから失業者の急増や歴史的に低い原油価格の影響で、経営難になるアメリカの企業がこれから出てくる恐れがあるので、再度市場が慌ただしくなる恐れはまだありますが、その時に備えて、今はじっくりと考えることもできます。
2020年の銘柄選びのポイントになってくるのは、強固な財務体質を持っているかどうかです。理由は、これからアメリカでもしも何か問題になるとすれば、企業の経営難だからです。
企業の財務
- 十分な現金が手元になること
- フリーキャッシュフローがプラス(営業で儲けたお金から事業に必要な額を引いて、手元に余ること)
- 債務が少ないこと
FRBのおかげで、しばらく市場が落ち着きを取り戻したうちに、購入銘柄をもう一度精査をしておきたいと思います。