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景気後退時の株価と一株利益の関係について

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昨日の記事で、景気後退時にはS&P500の一株利益が平均で29.5%減少したというデータをさらっと紹介しました。

この数字について、もう少しだけ調べたことがあるので私が知っていることを共有します。

この記事のポイント

  • 景気後退に入る時期に一株利益が前年比マイナス成長になる現象がみられる。
  • 2022年は9-12月に前年比+1%にまで減少するとアナリストは予想している。この前後で業績予想が予想を下回れば、景気後退に陥る恐れがある。
  • 1957年以降の景気後退では一株利益は平均で29.5%減少し、それによりS&P500の株価は33%下がった。

企業利益が落ち込むタイミングと景気後退


当たり前のことですが、景気後退が起こると企業の利益が減少します。

そうなれば企業の価値も下がって株価が下がりやすくなるので、投資家は景気後退が起こるのか、起こるとすればいつなのかを気にしています。

アメリカの景気先行指標というデータをみると、景気後退はそろそろ起こりそうだと言うことがわかっています。以下の記事にも書きましたが、景気先行指標を信じるなら「2022年内にアメリカが景気後退になる確率が67%、2023年1月までに景気後退になる確率は87%」と言えます。

>>アメリカの景気後退確率について【22年8月景気先行指標】

ちなみに、もしも景気後退が起こるなら、時期は次の年末年始が怪しいというのは企業の一株利益を見てもわかります。

上に記載したグラフの右端を見てみると2022年9月〜12月期のS&P500の一株利益の予想はわずか+1%成長にまで低下しています。マイナス成長までは残りわずかです。

2016年のように企業利益が前年比マイナス成長になっても景気後退にならない場合もありますが、もしも景気後退になるなら2022年の年末か2023年の年始頃が候補になりそうです。

景気後退時の企業利益と株価


景気後退になるとS&P500の一株利益が平均で29.5%減少すると書きましたが、株価はピークから何%下落するのでしょうか。

1957年以降のデータを調べてみた結果、株価は一株利益とほとんど同じの平均33.0%の下落を起こしていました。

景気後退突入 株の下落率 一株利益の下落率
1957年8月 20.7% 17.0%
1960年5月 13.9% 11.7%
1970年1月 35.0% 12.9%
1973年12月 49.5% 14.8%
1980年2月 20.6% 4.6%
1981年8月 28.0% 19.1%
1990年8月 20.3% 36.7%
2001年4月 48.9% 54.0%
2007年12月 57.7% 91.9%
2020年3月 35.4% 32.5%
平均 33.0% 29.5%

上の表をグラフにしてみると(下図)、景気後退ごとにデータのバラツキがあることがわかります。

ですが、たいていの景気後退では企業利益が減少するほど株価も下がり、その変動は20%から35%の間で収まると言えそうです。

余談ですが、上の分布を見て1点だけ大きく右に離れているのが目に止まります。

この右に飛び出た点は世界金融危機(サブプライムとリーマンショックによる景気後退)のものなのですが、企業利益が最大で92%減と他と比べ物にならないほど大きな危機だったことがわかります。

また、これほどまで大きな企業利益の減少が起こっても、株価は58%減で済んだのは大規模な金融緩和のおかげかもしれません。

2022年から2023年のアメリカはインフレ退治のために大規模な金融緩和ができないので、今回の株価下落は企業利益に対してやや大きめになるかもしれない点には注意です。


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