長期金利が上昇してしまうと、株価は下がりやすくなるので警戒している投資家も多いです。
この1ヶ月の長期金利を見てみると2021年1月には約1%だったものが、約1.3%にまで上昇しています。
まだ米国株全体を大きく引き下げるほどの金利上昇は起こっていないですが、金利の上昇の流れはこれからも続くと思っているので、警戒しながら投資をする必要はあると思っています。
この記事では「金利が上昇するとなぜ株が下がりやすくなるか」をおさらいし、「今後もまだまだ金利が上がりそうなこと」、「最近の金利上昇で自分の資産がS&P500より大きな下落をしているようなら、今のうちに保有銘柄を見直しをしたほうが良さそう」という3点を書いていきます。
この記事のポイント
- 長期金利が上昇すると、株価は下落する力が働く。また、今後のアメリカは景気回復を受けて長期金利が上昇する傾向にあると思われる。
- 2021年の米国株は「景気回復による株価上昇」と「長期金利上昇による株価下落」の2つの力を受ける。まだ「景気回復による株価上昇」のほうが大きく株価上昇は続くはず。
- ただし、割高な銘柄は「長期金利上昇による株価下落」の悪影響を受けやすいので、このような株を保有していないから点検したほうが良いかも知れない。
長期金利が上がると株が下落しやすくなる仕組み
まず、長期金利(10年国債利回り)が上昇すると株が下がり安くなる仕組みをおさらいしておきます。
長期金利が上がると株が下落しやすくなる仕組みは、投資家の資金が株よりも国債に向かいやすくなるためです。
「長期金利が上がれば、無理してリスクをとって株で運用しなくても、国債を買えばいいか」と考える投資家が出てくるため、長期金利の上昇は株価にとって下落要因になります。
今までの長期のトレンドで見ると、2020年のアメリカの長期金利は歴史的な低水準にありました。
これだけ低金利だと長期国債に投資してもほとんど儲からないので、2020年まで投資家の資金の多くは株に向かって、米国株は上昇してました。
でも、最近になって長期金利が上昇に転じてきて、「何だか流れが変わって来たかも知れない」と投資家は警戒しています。
まだまだ上昇するはずの長期金利
基本的には長期金利は景気が良くなると上昇する傾向があります。
2021年のアメリカはコロナの収束が見えてくれば、景気が良くなるはずなので、これから長期金利は上昇する力が働くと思います。
今の金利を見てみるとコロナ前よりもまだ低いので、これからまだまだ金利は上昇すると思われます。
インフレ調整後の金利を見てもまだ上昇余地が大きい
今までわかりやすさを重視して、インフレ率を考慮しない長期金利の数字を見てきましたが、本当に重要なのはインフレ率を差し引いた後の長期金利(実質長期金利)です。
長期国債を買う投資家は、インフレを想定しながら国債を買うので、インフレ調整後の実質長期金利こそが見るべき指標になります。
その実質長期金利を見ても、コロナ前の水準よりもはるかに低いレベルに留まっています。
長期金利を見ても実質長期金利を見ても、コロナ前に比べて上昇余地を大きく残しているように見えるので、今後も金利の上昇は続きそうです。
今後の米国株は景気回復と金利上昇の綱引きになる
ここまでの記事で、長期金利が上昇すると株が下がりやすくなること、これからますます長期金利が上昇しそうなことの2点を書いていきました。
これだけ読むと「じゃあ、米国株はもう売ったほうがいいじゃないか」という結論に達しそうですが、そう考えるのは少し早いです。
2021年の米国株は「景気回復による株価上昇」と、「金利上昇による株価下落」の2つの力を受けていますが、通常なら景気回復の初期は「景気回復による株価上昇」のほうが力が大きいので、まだ米国株全体はしばらく上昇するはずです。
2021年に米国株に働く2つの力
- (1)景気と業績回復で、株価が上昇する力(まだこの力のほうが大きいと個人的には思っている)
- (2)長期金利の上昇で、株価が下落する力
気をつけないといけないのは、(2)長期金利の上昇による株価を引き下げる力は、割高な銘柄ほど影響を受けやすいことです。
かなり割高な銘柄を保有している場合は(1)景気のプラスの力よりも(2)金利のマイナスの力が大きくなってしまうので、米国株全体よりも早い時期から大きな下落を受けてしまう恐れがあります。
最近だと2月10日から2月18日までの間に実質長期金利は0.2%上昇してS&P500も少し下げましたが、この間にS&P500の株価下落よりも大きく自分の資産を減らしていたなら、かなり割高な銘柄を掴んでいる可能性が高いです。
私も自分のポートフォリオを確認しましたが、特別大きな下落はなかったので、今のところ銘柄変更は必要なさそうです。
ただ、金利上昇はまだ始まったばかりです。これから少なくとも1年ほどは、この金利上昇に付き合わないといけないはずなので、リスクを取りすぎていないかマメに点検していこうと思います。