何年続けていても、投資は難しいなと感じる場面に出くわします。
米国株に投資しているほとんどの人は、今の米国株が割高だと知っています。でも、それだけで判断して2021年から米国株の投資を控えめにしてしまった場合には、1月から9月までの右肩上がりの米国株の上昇を逃してしまうことになります。
高値で株を掴んでしまうことは投資では良くないことですが、警戒し過ぎて株の上昇を逃してしまうこともそれほど良いことではありません。
さて、では今の米国株は攻めの投資をするべきタイミングなのでしょうか、それとも守りを固める時期なのでしょうか。
私は心理的にはできるだけ米国株への投資を避けたいとつい思ってしまうのですが、データは「まだ米国株に投資できる」と言っているように見えます。
この記事のポイント
- ロバート・シラー教授によるS&P500に関するデータが公開された。
- その中で、米国債に対して米国株がどれだけ期待できるリターンが大きいかを示すデータ(超過CAPEリターン)は、まだまだ米国株には投資できると言っている。
2021年9月時点の米国株の割高度合い
株の割高度をみる方法でよく知られているのは、予想PER(株価を予想一株利益で割った値)という数字を確認することです。
2021年9月の米国株S&P500の予想PERを見てみると、過去10年に比べてかなり割高になっていることがわかります。
これが一般的には、米国株は割高だと言われる理由です。
国債と比べると米国株は割高ではない
しかし、今のところは「金融緩和で買われすぎの国債に比べれば米国株はマシ」という投資家の考えもあって、2021年の米国株が買われて株高が維持されています。
となると、米国債とくらべて米国株が割高なのか、割安なのかを見る必要が出てきます。
それを個人の力で調べるのは大変なので、ここではロバート・シラー教授が公開しているデータを見ていきます。
先ほどのグラフと違って、下に行くほど株が割高だと見るのですが、以下のグラフを見ると2021年9月はそれほど割高ではないことがわかります。
上のグラフの最新版はこちらのサイトでグラフを見ることができます。
※上のグラフの見方などの詳しい説明は、以下の記事を合わせてご覧ください。
米国株全体の割高度合いの調べ方について【S&P500編】
あまり知られていませんが個別株だけではなく、S&P500などのインデックスでもPERを計算することができます。この記事では、米国株全体の割高度をどうやって調べるのかを書いていきます。
上のグラフを見る限り、この数十年の中でもっとも米国株が国債に比べて割高だったのはITバブル崩壊直前のときでした。しかし、その当時に比べれば今の米国株はそれほど割高ではありません。
また2007年と2008年の世界金融危機(リーマンショックなど)の前とも比べても、今はまだそれほど割高とは言えない状況です。
近年の米国債の低い利回りを考えると今の米国株はそこまで割高ではなく、国債利回りさえ低く保たれていれば、まだ上昇の余地があるようにも見えます。
まとめ
この記事では、2021年9月時点の米国株の割高度について見ていきました。
米国株は過去のPERと比べると割高ですが、米国債を考慮に入れると米国株はそこまで割高というわけではないようです。
また、もしもこれからも米国債の低い利回りが続くなら、米国株はまだ上昇余地もある気すらします。
さて、そうなると困るのは投資家としての判断です。
米国株が高いことを分かっていながら、それでも投資を続けなければならない投資環境はまだまだ続くようです。
ただ、この環境での投資は、私はあまり好きではないです。
基本に立ち返るなら投資家は一番伸びしろがあると思うものに資産を振り向ければいいはずなので、米国株であろうがなかろうが一番伸びしろがありそうなものを選んで投資をすればいいのだという考えに至ります。
私の中では米国株は長年慣れ親しんでいて最も投資もしやすいのですが、米国株以外でも魅力的なものがあるなら取り込んでいく姿勢が必要な気がしています。