8月になってから発表されたアメリカのデータを見ていると、7月は個人の消費が弱かったんだなということがよくわかります。
この記事では、いくつか気になったアメリカの個人消費に関するデータを見ていきます。
この記事のポイント
- 7月の小売売上高は予想以上に悪化している。2020年から3回の現金給付でアメリカの個人消費は成長を遂げてきたが、その勢いは陰っている。
- さらに、アメリカでの新型コロナウイルスの再流行により、消費者の心理が大きく悪化している。コロナ流行初期の2020年4月よりも消費者の景気指数は悪いのは少し驚き。
好調に陰りが見られるアメリカの小売売上
よく言われることですが、アメリカのGDPの約7割は個人消費で構成されています。それだけ個人消費はアメリカの経済にとって大事なものになっています。
その個人消費の動向を知るヒントになるアメリカの小売売上高の発表が8月17日にありました。
結果ですが、あまり良くなかったです。
予想よりも悪かったアメリカの7月の小売売上高
- 前月比:マイナス1.1%(予想:マイナス0.3%)
- *コア前月比:マイナス0.4%(予想:プラス0.2%)
*月によって売上の変動が大きい自動車や部品を除いた数字が「コア」として発表されています。
このブログでは、個人消費の伸びのピークは既に過ぎたと数ヶ月前から言ってきましたが、グラフにしてみるとその様子がよくわかります。
2020年からの3回の現金給付で、アメリカの景気(と株価)は見事な復活を遂げましたが、個人消費に与える効果は既にかなり薄れてきたのかなと思います。
悪化する消費者心理
少し心配なのは、8月13日に発表された消費者心理に関するデータが急激に悪化している傾向が見られたことです。
ミシガン大学は毎月消費者の調査して、景気アンケートの結果を発表していますが、今月は急減速が見られました。
上のグラフを見るとわかるように、最新の2021年8月のデータは急激に悪化しています。アメリカでのコロナ流行が1回目のピークを迎えた2020年4月よりも、数字が悪いほどでした。
ミシガン大学が発表したコメントを見てみると、どうも消費者心理の冷え込みには新型コロナウイルスの再流行が影響しているようです。
年明けからワクチンの接種を進めて収束が近づきつつある中で、変異株によって再び感染者が広がったことが消費者の心理に大きく暗い影を落としたようです。
まとめ
この記事では、8月に発表されたアメリカの消費者に関するデータをいくつか見ていきました。
どうも7月の小売の売上は予想されたよりも大きく減少して、さらに8月の消費者心理は新型コロナウイルスの再流行の影響を受けて大きく冷え込んでいるようです。
この様子は3-4ヶ月前のアメリカが経験していた「順風満帆で、向かうところ敵なし」の状態から、だいぶ状況は変わったように思います。
この内容は、「アメリカの景気の回復はピークを超えて、上昇しやすい業界株も変わってきた」と書いた以下の記事の内容とも一致します。
米国株の業界株の値動きから、景気のサイクルを読み取る【21年8月版】
このブログではどの業界株に強い上昇が見らるかを定期的に調べてきました。最近は以前よりもはっきりと業界の株の傾向が見えてきているので、再び各業界株の動きを確認していきたいと思います
今後もアメリカの景気を察知しつつ、どのような銘柄が有利になりやすいかを考えながら投資をしたいと思います。