アメリカは個人消費がGDPの7割を占めるので、これが堅調であればアメリカ経済は力強いとよく言われます。逆に、個人消費が傾き始めるとアメリカの景気が陰ってくると言われるので、毎月の小売売上高や消費者景況感指数には特に注目が集まっています。
10月15日、その注目のアメリカの小売売上高成長率が発表されましたが、予想外に良くなかったです。予想は前月比で+0.3%の成長を見込んでいたのですが、結果はマイナス0.3%に落ち込んでしまいました。
- 予想:前月比プラス0.3%
- 結果:予想を下回る前月比マイナス0.3%
グラフを見るとわかるように、月ごとにバラツキがある指標なので、9月分の単月の結果だけでアメリカの景気を判断することはできないのですが、10月になって発表される指標がことごとく予想を下回ったものが多いだけに「またか」と落胆の色が隠せないです。
不調な発表が続く米国9月経済指標
2019年10月に発表になった9月分の経済指標は、ことごとく結果が良くないです。以下は、10月に発表されたアメリカの重要指標の結果をまとめたものですが、ほとんどが予想を下回る結果になっています。
19年10月米統計 | 景況感 | 実体経済 |
---|---|---|
予想より悪い | ISM製造業指数 ISM非製造業指数 | ADP雇用統計 生産者物指数 小売売上高 |
適温 | – | 雇用統計 |
予想より良い | – | – |
2019年第3四半期は堅調も、最後の9月に経済失速か
一方で10月から始まった7-9月期の決算発表では、かなり順調な業績を発表している企業が多いです。CEOのコメントを聞いていても、特に個人消費が強いとのコメントが上がってきます。
10月15日に発表されたJPモルガン・チェースの決算発表でも、消費者が住宅や車のために積極的にローンを組んでいる様子をCEOがコメントしていました。
【2019年3Q決算】JPモルガン・チェース、利下げ局面でも増収増益。
6-9月期はどの企業も「アメリカは個人消費が強い」というデータがあがって来ているのですが、2019年10月に発表された9月分の経済統計は、本当にどれも優れていません。
決算発表も経済指標もともにアメリカの経済を正確に表しているとするなら、ここから浮かび上がってくるのは、6-9月までの3ヶ月間の個人消費が強かったものの、最後の9月にやや失速した恐れがあります。
経済指標の中でも、小売売上高は特に個人消費を表すものなので、ここでも9月の低迷は気になる結果となりました。