アメリカの22年1-3月期のGDPが発表されましたが、今回はかなり悪かったです。
物価上昇分を除いた実質の成長率で、マイナスに沈んでいます。
このブログではアメリカの個人消費のデータを毎月の追いかけながら、「まだ景気後退はない」と言ってきましたが、だんだん雲行きが怪しくなってきました。
まだ景気後退までには時間がかかると思っていますが、以前ほどの自信はなくなってきました。
この記事のポイント
- アメリカは2022年1-3月で実質マイナス成長に落ち込んだ。
- インフレが実質成長率を押し下げている構造が見られるので、今後の金融政策の引き締めの必要性が再確認された。
- 状況は悪くなっているので、今は投資のリスクはそれほど取らなくていいと思われる。投資するなら国債売りが一番の堅い投資に見える。
急減速したアメリカのGDP成長率
アメリカの1-3月期のGDPが発表されましたが、結果は前期年率でマイナスの成長率と振るわない結果になりました。
アメリカのGDP成長率
- 予想:+1.0%
- 結果:-1.4%
2四半期連続でこの経済成長率がマイナスになったらテクニカルな景気後退と言われているので、これで景気後退にまでリーチがかかったことになります。
(※アメリカの景気後退入りは正式には全米経済研究所(NBER)が決めるので、2四半期マイナス成長にならなくても景気後退になる場合があります)
ただ、個人的にはまだ景気後退に落ち込まないと思っています。アメリカ経済の中心になっている個人消費はまだ四半期でプラスですし、決算期の様子を見ていても利益成長は減速はしても、景気後退が迫っているような大きな低迷は感じませんでした。
アトランタ連銀のGDP予想サイト(GDPNow)を見ても、4-6月期のGDPは再びプラスになる予定なので、景気後退はまだもう少し先なのではないかと思っています。
GDPマイナス成長でも金融引き締めは必要
「景気が悪くなっているなら、金融引き締めはそれほどできないのではないか」と思われるかもしれませんが、少なくともまだそういう方向にはならなそうです。
アメリカの実質の経済成長をマイナスに沈めている原因は、やはり高いインフレ率にあると思われるからです。
先程からアメリカの景気はマイナス成長になったと言っているのは、インフレの影響を除いた場合の(実質)成長率です。
一方で、インフレを含んだGDPを見てみると今回もちゃんと年率+6.5%も成長しているので、もしもインフレさえ高くなければ実質マイナス成長にはなっていなかったとも言えます。
今回GDP成長率のデータは、むしろインフレを抑える必要を再認識するような結果になっていたと思います。
予想されている通りこれからアメリカの中央銀行のFRBはインフレを抑えるための金融引き締めのペースが増して、国債と米国株の下落圧力になるのだと思います。
さいごに
この記事ではアメリカのGDP成長率が1-3月期でマイナスになったことを伝えました。
ただし、その原因の一つにインフレがあるので、インフレを抑えるための金融引き締めで米国株が上がりにくい展開はまだ続くのだろうとも思います。
株は景気後退前の最後のひと上げがあると思っているのですが、それほど狙わなくてもいいかもしれません。2022年のリスクオフ展開はまだ続きそうです。