やはり、2021年のアメリカでは強いインフレの状態が続いています。
昨日発表された8月の生産者物価指数(アメリカで生産者の卸売り価格を数字にしたもの)を見てみると、ハイペースでインフレが進んでいます。
市場が注目しているのは生産者(卸売)の価格ではなく消費者の価格なので、この数字が大きくでもそれほどあまり大きな話題にはなっていません。
それでも、一般的には卸売価格が上がれば、時間をおいてから消費者が買うモノの値段もあがるはずなので、まだしばらくはアメリカのインフレは高い状態が続くのだろうと思っています。
この記事のポイント
- 8月のアメリカの生産者物価は一時期の勢いからは和らいだものの、かなり高いインフレの状態が続いている。
- 一般的には生産者物価が上がれば、投資家の注目度が高い消費者の物価も上がるので、アメリカはまだインフレ圧力が高い状態。
- ただ、インフレに強いゴールドやコモディティへの投資はまだ考えていない。これからしばらくは消費者物価がある程度下がると予想しているが、投資はその下げが終わったあとでいいと思っている。
高い状態が続くアメリカの生産者物価
2021年8月のアメリカの生産者物価が発表されましたが、今月も予想よりもインフレが強まっている様子が見られました。
この記事のポイント
- 前月比:+0.7%(予想+0.6%、前回+1.0%)
- 前年比:+8.3%(予想+8.2%、前回+7.8%)
前月比は前回よりも小さくなっているのでインフレ率の伸びは一時期よりも緩やかにはなっているのですが、それでも前月比+0.7%はかなり高いです。
前年比を見てみると、この1年間で急上昇していることがわかります。
生産者物価の伸び(前年比)の+8.3%は過去10年間で最も高いインフレ率になっています。
一般的には生産者物価が伸びた後に、消費者物価も上昇すると言われているので、翌週14日に発表される消費者物価もどのような数字が出てくるか注目してみてみたいと思います。
インフレ対策の資産はまだ購入せず
インフレ率が高い状態が続くなら、ゴールドなどのインフレに強い資産への投資をするかどうかをすぐに考えてしまいますが、今はまだ投資をしなくていいかなと思っています。
少し前を振り返ると2021年夏までは石油株やコモディティにも投資をしていましたが、世界の経済はこれから成長率が鈍化していくので、インフレ率の上昇も緩やかになると思って売却をしました。
今もその時と考えは変わらず、しばらくはインフレ率は高い状態は続きながらも、少しずつ下がっていくのではないかと思っています。
今の物価の上昇は主に、新型コロナウイルスの流行で工場が十分に動いていなく半導体などが不足している部品供給の問題です。
世界中で新型コロナとの戦いが長引いているので、今もインフレ率が高い状態が続いていますが、少しずつ日常を取り戻していけば、供給の問題もインフレ率も落ち着いてくるはずです。
投資のタイミングは長期のインフレの問題が表面化してから
気をつけるべきは、部品の問題よりも長期的にインフレを押し上げる賃金上昇です。
2021年4月から高い上昇率を続けるアメリカの平均時給
今日話をするのは、アメリカの賃金上昇です。このブログでは何度も言っていますが、どうもこの数ヶ月は人手不足で賃金が上昇しているように見えます。この動きが続くと継続的なインフレを招くので注意が必要です。
もしも、賃金上昇によるインフレが顔ののぞかせた場合には、インフレ率は1970年代のように長期的に上昇する可能性があります。
ゴールドなどのインフレに強い投資に再度投資する場合には、長期のインフレが問題になって、再びインフレ率が上昇に転じたあとでも良いと思っています。