前日のアメリカの消費者物価に続き、生産者物価も6月分が発表されました。
こちらでも予想よりもインフレ鈍化が進んでいることが確認できたためか、市場では利下げのタイミングを早める動きが見られるようです。
この記事のポイント
- 6月の消費者物価の発表に続き、生産者物価でもアメリカのインフレ鈍化が確認された。
- インフレ指標の鈍化発表が続いたことで、投資家は利下げ開始時期の予想を前倒ししている。利下げは株にも国債にも好影響。
生産者物価でもインフレ鈍化を確認
昨日の記事で、6月のアメリカの消費者物価は順調に低下していることを書きました。
そして、その翌日に発表された生産者物価(卸売物価)でもインフレの鈍化が確認できたようです。
- 前月比:0.1%(予想:0.1%)
- 前年比:0.1%(予想:0.5%)
次の図で、生産者物価の前年比の伸びをグラフを見てみると、生産者物価は大きく下がっているように見えます。
この図を見る限り、少なくとも生産者物価ではインフレの問題は解決したと言えそうです。
消費者物価コアやPCEコアなど、まだまだ根強く高い伸びが続いているインフレ指標もありますが、全体的にアメリカのインフレは落ち着いてきた印象があります。
利下げ予想は前倒し
消費者物価や生産者物価などの一部のインフレ指標が落ち着きを見せてきたことで、投資家の利下げ開始予想も少し早まっているようです。
CMEのFedWatchツールを見てみると、この1週間で投資家は利下げ予想を大きく前倒ししたことがわかります。
上の図は少し見づらいのですが、赤い棒グラフがこの記事を書いている7月14日時点の金利先物市場に織り込まれている金利予想です。
赤い棒グラフだけみると、2024年1月から利下げが始まると予想を投資家がしていることがわかります。
一方で、1週間前の7月7日時点の投資家の予想を灰色グラフで表示したのですが、この時点では2024年5月にならないと利下げがないと思われていました。
消費者物価や生産者物価の発表を経て、この1週間で投資家は4ヶ月も利下げを前倒ししたことがわかります。これは株にも国債にも大きな前進です。
まとめ
この1週間で発表された消費者物価と生産者物価は、アメリカのインフレ退治が順調に進んでいることを投資家に印象づけたようです。
その証拠に、この1週間で投資家は利下げ予想を大幅に前倒ししました。これはインフレ退治のための高い政策金利はまもなく不要になる(利下げしても良くなる)という考えの現れだと思います。
この利下げは株にも国債にも良い影響を与えるために、どちらもこの数日は大きく買われています。
ただ、これから更に買われるための材料はそれぞれの資産で異なります。
- 株:利下げに加えて、企業の業績回復が進めばさらに買われる。
- 国債:利下げに加えて、景気悪化が始まればさらに買われる。
アメリカがこれから景気拡大の道に進むと思うなら株が有利、そうでないなら国債が有利という展開です。
現時点では、まだアメリカの景気は持ちこたえているのでまだ株のほうが分が良さそうです。しかし、そこまで遠くない数カ月先にアメリカにも景気悪化が始まるだろうと私は考えています。
このブログでは2023年内にアメリカの景気悪化が始まると、ずっと前から言ってきました。
当たるかどうかは怪しいところですが、そうなれば年始から鳴かず飛ばずだった国債への投資でもリターンが出始めるはずです。