ボーダーラインを下回ったアメリカ製造業
まだまだ好調が続いているとされるアメリカ経済ですが、ついに製造業ではほころびが現れました。
アメリカの製造業の景気を測る指数(PMI速報値)は8月に低下し、10年ぶりの低水準になりました。また、この指数は50を上回れば好景気、下回れば景気後退という見方をしますが、8月は49.9とついに製造業にかすかに景気後退の色が見え始めました。
世界的な景気減速と貿易の不振から、さまざまな国で製造業が伸び悩む現象はアメリカにも忍び寄ってきています。
アメリカ景気全体はまだ景気後退せず
ただし、製造業がつまづき始めたからと言って、直ぐにアメリカの景気が悪くなるわけではありません。製造業以外のアメリカ景気はまだ健全のようで、それを受けてアメリカのGDPの大半を支えている個人消費も勢いよく伸びています。
米GDP、2019年4-6月期は2.1%で予想ほど減速せず。
また、製造業にいくら不調の影が忍び寄ったところで、アメリカはものづくり社会ではないので、全体に与える影響は小さいです。2015年の産業カテゴリ別のGDPのシェアは1位の民間サービス部門に対して、製造業は12.0%と規模が小さいのがわかります。
産業 | 名目GDPシェア |
---|---|
民間サービス部門 | 68.2% |
製造業 | 12.0% |
データ:通商白書2017(第Ⅰ-2-1-3-7図 米国の製造業・サービス業のシェア)参照
アメリカの景気はまだ大丈夫です。
しかし、最近は「まだ大丈夫」の意味合いが変わりつつある気もしています。ドイツ・韓国・シンガポール等など輸出中心の経済が次々と崩れ始めて、アメリカの製造業もかすかに景気減速の影がちらつき始めました。
「まだ大丈夫。でも確実に、何かが忍び寄っている」というのが、正直なところです。2019年は株を売りたい人は高値で売れるチャンスかも知れないという話を2019年年始にしましたが、案外あたっているかも知れません。