アメリカ政府が発表した11月の雇用統計ですが、結果は驚くほど良かったです。
11月の他の経済指標が全く冴えなかったので、てっきりアメリカの雇用環境も悪くなったのかと思っていました。しかし、フタを開けてみたら、びっくりの絶好調です。
この知らせを受けて、アメリカ株も急上昇しました。12月に入って、アメリカ株も陰りが見えたかと思えましたが、まだまだ強いですね。
予想よりも遥かによかった雇用統計
結果を振り返っていきます。
農業以外の雇用者数の増加は事前の予想を大きく超えて、10ヶ月ぶりの伸びを記録しました。また、失業率は再び3.5%にまで下がって、賃金上昇率も予想を超えるなど、文句なしの好調でした。
2019年11月雇用統計 | 結果 | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|
非農業部門雇用者数 | 26.6万人 | 18.0万人 | 15.6万人 |
失業率 | 3.5% | 3.6% | 3.6% |
平均時給(前年同月比) | +3.1% | +3.0% | +3.2% |
ADP雇用統計と大きく食い違った雇用統計
政府発表の雇用統計よりも、先に発表されたADP社とムーディーズ社の民間2社が集計した雇用統計では、同じ11月の雇用でもかなり悪い状況を伝えていたのですが、結果は正反対でしたね。
【2019年11月ADP雇用統計】輝きを失ないつつあるアメリカの雇用
ADPとムーディーズの民間会社が共同で調査しているADP雇用統計が発表されました。結果はかなり悪かったです。雇用者の増加数は、予想も前月も大きく下回る6.7万人でした。ムーディーズのエコノミストは「雇用は輝きを失いつつある」と発言しています。
FRBは政府発表の雇用統計を信頼して、これからの政策を決める材料にしています。なので、どんなにADPが悪くても、政府発表の雇用統計が良ければ、結果オーライです。
ADP雇用統計と大きな差が出た理由
ただ、政府統計とADPで何でこんなに違うのかが気になるところです。内訳を見てみると、まず目につくのは製造業の雇用増減の結果です。
ADPの発表では製造業の雇用は6,000人減少でしたが、政府雇用統計では製造業の雇用は54,000人と正反対になっています。政府の発表では、10月の自動車メーカーのストライキを終えて、11月に労働者が職場に41,000人ほど戻ってきたので、大きく増加したと言っています。
ストライキからの復職を数字に反映したか否かが、結果に影響を与えた可能性があります。
ただ、こストライキの影響を入れたとしても、まだ政府のほうが全体的に楽観的な結果です。雇用統計は翌月修正される可能性が高いので、ADP数字に近づくように修正されるのかが気になるところです。
11月の経済市場のまとめ
他の経済指標を見る限る、11月のアメリカ経済は軒並み不調を伝えてたのですが、雇用統計は全く違う内容になりました。
11月米経済指標 | 予想以上 | 予想未満 |
---|---|---|
前月以上 | 雇用統計 ミシガン消費者信頼感 |
– |
前月未満 | – | ISM製造業 ISM非製造業 コンファレンスボード消費者信頼感 ADP雇用統計 |
この解釈は少し難しいです。会社が苦しくなってから人を削減するので、雇用にはまだ影響が出ていないものの、企業の景気は少しずつ悪化しているのかも知れません。
ただ、それにしては雇用のデータが絶好調です。これくらい失業率が低くて、賃金上昇率も改善しているなら、人々の財布は潤っているはずなので、クリスマスの商戦はいい結果になるのかなと漠然と予想しています。