アメリカの工業や製造業の強さを示す数字で、FRBが発表する鉱工業生産指数というものがあります。
この数字が注目される理由は、GDPと相関があると言われていることです。個人的には、アメリカは製造業の国ではなく、サービス業の国だと思っているので「本当か」と思っている節はあるのですが、多くの人が注目しているので、私も毎月見るようにしています。
3ヶ月に1度しか発表されないGDPと違って、鉱工業生産指数は毎月に発表があるので、GDPと関連があるなら目安の指標として見ておいて損はなさそうです。
さて、10月17日には2019年9月の鉱工業生産指数が発表されましたが結果は予想を下回るものでした。
- 予想:前月比マイナス0.2%
- 結果:前月比で予想を下回るマイナス0.4%
マイナス0.4%は19年4月以来の5ヶ月ぶりの低迷になります。
予想を超えたマイナスに落ち込んだのは、貿易戦争や自動車メーカー大手GMの工場のストライキの影響もあるようです。9月は米中で追加関税が発動された他、GMのストライキもあり、企業の生産活動に影響あるイベントがあった背景でマイナスに沈んでしまいましたが、ストライキは一過性のはずなので、来月以降も減少傾向が続くかに注目です。
冴えなかった9月の米経済指標
このブログでは、10月に発表されたアメリカのあらゆる経済指標を追いかけてきましたが、本当に冴えない数字が並びます。
19年9月米経済指標 | 景況感 | 実体経済 |
---|---|---|
予想より悪い | ISM製造業指数 ISM非製造業指数 | ADP雇用統計 生産者物指数 小売売上高 鉱工業生産指数 |
適温 | – | 雇用統計 |
予想より良い | – | – |
9月にはアメリカが中国に対して関税をかけたくらいで、その他は広範囲に渡るような目立った動きはなかったと思っているのですが、何が理由で8月まで比較的順調だった数字が9月になって広範囲の指標で曇りだしたのか、いまいち理由がわかりません。
単なる一時的なものなのか、それとも今までゆるやかに続いていた景気拡大ペースの減速が目に見える形で現れてきたのか、どちらでしょうか。もしも、景気拡大ペースの減速なら、10月に入ってから景気再拡大する動きがないと今後も景気にブレーキがかかり続けてしまいます。
幸い、10月は米中関係では貿易協議で部分的な合意を発表し、ヨーロッパ情勢ではイギリスがEUと協議合意に至りました。双方ともまだ暗転するリスクは十分にありますが、今のところ順調にきているので、10月の経済指標で好転するかに注目です。
投資スタンスについて
さて、2019年9月の経済指標は発表がだいたい終わってきて、残念ながら予想外に悪化している数字が多いことが見えてきました。ただ判断が難しいのは、予想より悪かった指標の数が多かっただけで、対応を急ぐような深刻に悪化している指標はないです。
風邪で例えるなら「なんか軽い頭痛がして、喉も調子が悪い」と程度です。10月末には市場は利下げという薬も見込んでいているので、大きな出来事が起こらずしばらく安静にしていれば、アメリカの景気は強いねと体調が回復に向かう展開もあると思います。
私は万が一2020年後半に景気後退に突入する可能性も考えて、もう少しだけ株を売る用意をしていますが、今期は良い決算を発表している企業が多いので、まだ売らずにしばらく様子をみようと思います。