ほかの人はほとんど信じていないかもしれませんが、景気後退さえ起これば2024年にアメリカがインフレ率2%以下に低下する可能性もあるだろうと私は思っています。
アメリカのインフレに関して言えば、あと抑えなければならない項目は住居費だけといえる状況だからです。
この記事のポイント
- アメリカのインフレ上昇要因はすでにその多くが収束した。
- ただ、2023年から住宅価格が上昇しているのは厄介。この価格の引き下げに成功しないと2%のインフレ目標は見えてこない。
- これから景気後退が起こるなら住宅価格も下がって、2024年のどこかで2%を下回るインフレの可能性も見えてくる。
アメリカのインフレ要因
2021年からアメリカのインフレ率が上昇した背景には次の3点がありました。
- (1)パンデミックによる工場と流通の混乱(供給不足)
- (2)3度の大規模な現金給付(需要増加)
- (3)コロナ前を上回る賃金上昇(※これが起こるとインフレは長期化する)
現時点で上の3つを見てみると、いずれも解決済みか、あとわずかで解決済みと言えるものばかりです。
詳細は次の記事に任せますが、(1)のパンデミックによる供給不足はもはや何の問題もありません、(2)現金給付で膨らんだ過剰な貯蓄は2024年5月にも解消予定、(3)賃金上昇はコロナ前よりはまだ高いものの鈍化傾向は続いています。
>>米インフレ要因のおさらいと、今後もインフレ低下が続くと思う理由(2023年10月12日)
2021年から2022年にアメリカをインフレに押し上げた要因は、すでにほとんどが片付いたと言えます。
だから、他の投資家はあまり賛同しないかもしれませんが、私はアメリカが2024年のどこかで2%下回るコロナ前のような低インフレ率に戻っても、不思議ではないと思っています。
2024年の懸念点は住宅価格の伸び
しかし、私も2024年のアメリカのインフレ低下がなんの問題もなく順調に進むとは思っていません。
恐らく、景気後退懸念による利下げと住宅価格の下落が必要になります。
もうこのブログではかなり前からアメリカの住宅価格の下落が起これば、インフレ低下の大きな言動力になると言ってきたのですが、最近のアメリカの住宅価格には残念ながら上昇が見られます。
これがインフレ低下のために最後にとかなければならないパズルになりそうです。
「住宅ローン金利はかなり高くなっているのに、どうして住宅価格は下がらないのだ」と不思議だったのですが、どうも住宅ローン金利が高すぎで家の買い替えが起こらないので、中古住宅に出回る物件が少なく(供給不足で)価格が下がらないようです。
この理由が本当ならば、もしも2024年に景気後退懸念で利下げが起こって住宅ローン金利もつられて低くなれば住宅価格が下がるはずです。
住宅ローン金利が下がれば家を買う需要が生まれるのに、住宅価格が下がるというのは変な気もします。しかし、実際に過去の景気後退局面ではローン金利も住宅価格も下がる時期はちゃんと存在しています。
要するに景気後退が近づいたらローン金利が下がろうが、住宅価格も下がるようです。
最後に
というわけで、もしも2024年に景気後退が来るなら、心配していたアメリカの住宅価格の上昇も収まってインフレ解決です。
ためしに住居費がない場合の10月の消費者物価を調べてみると、前年比1.5%です。住居費の伸びさえなければ、すでに2%を下回っています。
もちろん、何もかもが順調に行くわけではないと思いますが、2024年のどこかでアメリカのインフレ率が2%を下回るというのは、他の投資家が思っているほど夢物語ではない気がします。