先日、9月は例年株価が下がりやすいという話をしました。
このブログでは去年からアメリカのリセッション(景気後退)の話をしており、次の9月の下落がリセッション前の大きな株価の下落になる可能性も考えられなくないです。
しかし、現時点で債券市場の動きを見てみると、そのような大きな下落になる気配は今のところありません。
この記事のポイント
- 9月は1年の中ではもっとも株価が下がりやすい時期だと言われている。
- しかし、債券市場はリスク回避の流れは起こっていない。
- 2023年のアメリカはリセッションの前だと言われているが、このままなら9月にリセッション前の株価の本格下落になる気配はない。
9月は株価が下がりやすい時期
例年9月が1年の中でもっとも米国株が下がりやすい時期だと言われています。
1964年から2015年までの月別の成績を見てみると、次のように9月の株価が一番調子が悪いことがわかります。
次の9月でも例年通り株価が下がるかもしれませんが、2023年にいくつかのリセッションの兆候が見られるからと言って、リセッション前に起こるような株価の急落にはつながらないだろうと思います。
少なくとも現時点では、債券市場の投資家は大きな下落が起こるような警戒心を見せてはいません。
債券市場の投資家が大きな市場の混乱を予想していない様子は、次に見るグラフからわかります。
ハイイールド債と米国債の利回り差
これから見るグラフは、ハイイールド債と米国債の利回りの差をグラフにしたものです。
リセッション時に見られるような株価急落が起こる時や、リセッションにならなくても株価がまとまった下落をする時にこのグラフは急上昇することが知られています。
しかし、以下の図を見ると現時点でハイイールドと米国債の利回り差は上昇していないことがわかります。
実はこの記事を書いているタイミングで、米国株のS&P500はやや下がってきています。
一方で、ハイイールドと米国債の利回り差が低水準にとどまっていること(本格的なリスク回避の動きが見られないこと)を合わせて考えると、今の株価の下落は本格的なものになる気配はありません。
補足
ここまで読んでいる人の中には、「なぜハイイールド債と米国債の利回り差が上昇したら、本格的な株価下落になるんだ」と思っている人もいるかも知れません。
少し補足すると、「ハイイールド債の利回りが米国債よりも大きく上昇する」というのは、債権の投資家がリスクの高いハイイールド債からより安全な米国債に資金を移していることを意味します。
このようなリスクを回避するような動きが本格化するような時期では、債権投資家だけではなく株式投資家もリスク回避して株価を売って現金化することが多いです。
まとめ
この記事では、最近のハイイールド債と米国債の利回りの動きから、今の株式の下落が本格化する可能性はまだ低いという話をしました。
現時点では債券市場にリスク回避の動きは見られないことから、おそらく今の株価下落は景気悪化などのリスク回避ではなく、今まで上昇した分の利益確定の意味合いが強いと思っています。
この様子が続くなら、9月は株価が下げやすい時期だとしても景気後退前の大きな下落はまだ先になるはずです。
ただ、この推測は「ハイイールド債と米国債の利回りが今後も上昇しないこと」が前提です。9月は歴史的に市場の流れが代わりやすい時期でもあるので、油断せずに警戒を続けていきたいと思います。