アメリカの2019年GDPが発表されました。結果は前期よりもわずかに悪化したものの、予想よりも良い結果でした。
- GDP成長率:予想の1.6%を上回る1.9%(前四半期は2.0%)
- 個人消費: 予想の2.6%を上回る2.9%(前四半期は4.6%)
第3四半期の最後の月の9月、アメリカは経済がやや失速したように見えましたが、GDPは前期2.0%からわずかに0.1ポイント減少の1.9%成長と持ちこたえています。
ただ、内訳を見るとアメリカのGDPの7割を占めて最も重要な項目である個人消費は前期4.6%から2.9%と減速してしまっています。前期の4.6%成長が調子良すぎたものありますが、下落幅は大きくなっています。
四半期ごとにバラツキもあるので、今回の結果だけで判断するのは早計ですが、個人消費の減速は少し気がかりです。
低調な事前予想を超える結果
2019年6-9月のGDPですが、実は事前予想ではかなり悲観的な数字が飛び交っていました。2019年に入ってから、1Q(第1四半期)は3.1%成長、2Qは2.0%と景気拡大が緩やかに変わっていったのですが、事前予想ではQ3は更に拡大スピードは緩やかになって+1.6%成長になるのではないかと言われていました。
時期 | 米GDP成長率 |
---|---|
2019年Q1 | 3.1% |
2019年Q2 | 2.0% |
2019年Q3(予想) | 1.6% |
これだけ低迷すると考えていた理由ですが、9月アメリカ経済の指標はどの指標も予想を下回るズタボロな状態だったことにあります。以下は、アメリカの9月の主な重要な経済指標ですが、ほとんどが予想に届きませんでした。
19年9月米経済指標 | 景況感 | 実体経済 |
---|---|---|
予想より悪い | ISM製造業指数 ISM非製造業指数 | ADP雇用統計 生産者物指数 小売売上高 鉱工業生産指数 耐久財受注 |
適温 | – | 雇用統計 |
予想より良い | – | – |
なので、9月の低迷から、多くのエコノミストも第3四半期のGDPは低迷するのではないかと考えていたようです。しかし、実際には GDPは1.9%成長と予想を上回って、投資家は一息つく内容となりました。
FOMC0.25%利下げで打ち止めへ
GDPが予想よりも悪くなかったことで、投資家は一息ついたはずと書きましたが、一番安心しているのはアメリカの中央銀行のFRBかも知れません。数時間後に会見が行われるFOMCでは、0.25%利下げを実施したのち、しばらく金利はこのまま維持すると見られています。
もしも、GDPが大きく低下しているとすると、この利下げを打ち止めするFRBのプランも狂ってしまうところだったでしょう。
しばらくは株は上がりやすい環境に
さて、無事にGDP発表も乗り越え、それを受けたFOMCもおそらく波乱なく進むと思われます。株にとって上がりやすい良い環境が整いつつあるように見えます。
私の早ければ2020年半ばにも訪れるかも知れない景気後退に備えて警戒を解いていませんが、2019年内は一時的な株価の調整はあっても、まだ大きな下落はこない展開になるのかなと感じています。